開演5分前。わらわら。
お待たせしました、超主観的グダグタ感想後半戦です。前半戦はこちら。
あのー書くのに時間がかかったのには理由があって……前半戦をアップしてから、なんかアクセス数が爆発的に増加して(自分比)。
うわあーちゃんと書かなきゃいけないのかあーと、ちょびっとプレッシャーになってしまいました。だって拍手とか、何この数(自分比)!?www
当ブログへのアクセスありがとうございます。
多くの方に見ていただいているということで、記憶が曖昧な部分はきちんとネットで補完してから書いたほうがいいのかなとも考えたのですが、動画の感想なら誰にでも書けるわけで。
わたしは、わたしの頭に残っているものを出し切りたい。印象に残った部分は思いきり語って、そうでない部分はさらりと流して、自分勝手でも間違いがあっても、あの時の首都体育館に存在した一人の人間の目線で語りたい。
読み手のために書いていない時点で感想として崩壊しているかもしれないけれど、それでもここへたどり着いた人に読んで欲しいのは、ショーで何があったかではなく、ショーのいち参加者が何を感じたか。
ショーの内容をきちんと知りたい方にとっては役に立たない感想ですが、まあ言ってしまえばそういう人は、後日ネットの海に放されるであろう動画を見ればいいわけで。カメラに収まらないことをできるだけ書きたい。
だからここで書いていることの中には、もしかしたらとんでもない間違いがあるかもしれない。耳聴為虚、目見為実という中国のことわざがありますが、実際にあったことに関しては、ぜひ動画などで、自分の目で見て欲しいと思います。
こういう考えにもとづいた感想なので、きっとこれから先、たとえば試合を見に行っても、同じように「カメラに収まらないことを書きたい」というスタンスでいくと思うので、そこはご了承下さい。
前振りが長ァい!!!と思ったそこのあなた、本編は恐ろしいことに前回より長いぞ!
第二部は結婚式よりショーを重視したようで、悲しげなプログラムも含め、スケーターの個性が光る、さまざまな魅力の詰まった時間となりました。
PR
氷上雅姿盛典~ARTISTRY on ICE 感想
後半戦 第二部~さいごまで
◆斗牛舞 by Chinese Pairs
「斗牛」は中国語で闘牛のこと。闘の簡体字は斗、これ豆知識な!
休憩中、製氷の終わった頃から、リンクを横切るように赤い布がジグザグに5本渡されていく。
両端に布を持つ&巻き取るお仕事の人がいて、各ペアがその布の下に入った状態から始まるプログラム。布が5本ってことは、5組のペアでやる予定だったんだろうなぁ……張昊ぉ(´;ω;`) 名前がちょっとわからないんだけど、もう1ペア不参加になっちゃったのね。
全体的に赤と黒でまとめられた非常にかっこいい衣装で、中国のペア3組が共演するオリジナルのプログラム。熱く、かっこいい。
女性は最初赤のロングスカートで、途中からばさっ!とミニスカートの衣装に変わるのが印象的だった。ばさっ!と取ったほうの赤い布は男性がまさに闘牛のようにひらひらと振っていた。
いつも思うけど早着替え式の衣装ってどうなってるんだろう。プルシェンコの男女切り替えのやつとか、最近だとベルビン&アゴスト組の、幼馴染からカップルになるみたいなプログラムとか。まさかマジックテープじゃないよね? バリバリ←やめて!
それぞれ違ったポジションのリフトで輪を描いたり、迫力とキレのあるぴったりと揃った動きを存分に楽しめた。でもやっぱり、こんな貴重な機会を5組そろった状態で見られなかったのがとっても残念。くるくる輪を描くところとか、3組だとどうしても凄みに欠けてしまう。5組でやったら、きっともっとかっこよかっただろうになああああ(´;ω;`)
是非ともこれっきりにせず、またどこかで5組揃った状態で披露してほしい!!
最後は女性がばったりと倒れるような振り付けでフィニッシュ!あとリンクの両脇に、陸上で踊る(社交ダンスみたいなの)担当の人がいて面白かった。
◆Program by Chinese National Queen
ここで司会者から「今回の出演者の中で最年少のスケーターです」と紹介されたのは、弱冠13歳にして現在の中国女子シングル1位だというおんなのこ。
おそらく今季のSPであろう(適当予想)プログラムを披露してくれました。
照明が点いた瞬間「わあー」と声が上がるほど、もう本当にちっこくてちっこくて。ちっこい体を一生懸命に使っている感じが可愛かった。ジャンプは転んでもいたけど、なんだっけ3S?と2Aは跳んでたと思う。
プレゼントも投げ込まれてたし、お客さんから暖かい拍手をもらっていました。雪組と縁のある子だという情報は本当なのかなあ。しかし13歳でナショナル1位って、この子がすごいのか、上の層が薄いのか……シングルもがんばれよ中国!!
◆Ne me quitte pas by Stephane Lambiel
各選手、第一部か第二部のどちらかの出番前に、簡単なCMのような映像が流れるようになっていたんだけど。
ランビエールのCMの鮮やかなしまうま柄が目に入るとともに、わたしはふと氷上に目を移して、そこにたたずむ彼の衣装、そのシルエットはどう見てもNe me quitte pasのものだったから、拍手も歓声も呼吸もなにもかも忘れて、ただ一言「ぬぎっぱだ……!!!」と呟いて、それからもう、プログラムが終わるまで微動だにできなかった。
#1で言及したことがあるけれど、わたしにとってこのプログラムは、フィギュアスケートを好きになるきっかけだったのだ。
今思えば、一目惚れだった。
曲を好きになるほど何度も見て、歌詞だって調べて、けど、生で見られることなどないだろうと、思っていたのだ。
透きとおった、だけど悲しげな瞳で、顔をふっ、と横へ向けるしぐさからこのプログラムは始まる。低い声にあわせて、流れるように彼は滑り出す。「行かないで」。それまで誰も語らなかった、愛に屈服する男性の姿を、ジャック・ブレルが初めて歌ったものだ。
痛切に「行かないで」と繰り返すこの歌を、ランビエールはどう感じたのだろうと、かつてわたしは考えたものだった。
その答えは、彼のスケートの中にあった。
ランビエールの指先が、首が、ひとつひとつの動作が「行かないで」と言っていた。ああ、今この瞬間、この歌は彼の歌になっている、そんな風に感じた。強い悲しみが霧のように濃く会場を満たしていて、わたしまで何かに、手の届かない何かに対して「行かないで」と言っているような、強烈に後ろ髪を引かれるような気持ちになってしまう。
氷に膝をついたうなだれるようなポーズ、「行かないで」という歌詞に合わせて手を伸ばすポーズ。スピンは第一部と変わらず美しいのに、悲しさが彼を衝き動かしているように見える。届くことのない何かに向かって伸ばした右手は何も掴めずに空を切る。はるか遠くへ行ってしまってもまだ未練を捨てきれず、その右手は「行かないで」と言っている。
…………あの空間を言葉であらわすことは不可能だったorz
とにかく、その場では何も思えなかったんだけど、今思い返したら「あのときNe me quitte pasは彼の歌だった」という言葉しか出てこない。ジャンプにもスピンにも、拍手をするということを忘れていた。
表現力というものが何なのか、わたしにはいまいちよく分からないのだけれど、やはり初めて動画で見たときと同じように、これが表現力だ、これが芸術だと、感じた。
うわさの毛玉衣装は生で見るとそこまで変でもなかった。動くたびにきらきらと揺れる。涙に見えなくもない。
でも膝をつくあのポーズで拍手喝采はねぇよw
あと、巨大てんとう虫ぬいぐるみ投げ込んだやつ出て来いw ちびっこ超大変そうだったぞw
◆Die Another Day by Joannie Rochette
これ、とってもかっこよかった。以前のエキシだそうだ。
最初は後ろで組んだ手に黒い布が巻き付いていて、某選手の某拘束服プロを思い出してなんかないんだからね!
第一部とは打って変わって、かっこよくリズミカル、かつセクシーな感じ。しかしパンツスタイルの衣装がよく似合うなあ。
リンクに座ったり膝をついたりする部分は、おお、欧米のおなごはセクシーだなあと思ってしまった。おなごって(笑)年上だよ。でも本当に、アジア人にはどうやったって出せない妖艶さがあると思う。
こちらでもイナバウアー(レイバックじゃない)をやっていたので得意なのかなーと思ったんだけど、ロシェットは筋肉がつきやすい体質だとどこかで聞いたことがあるから、優雅な動きや柔軟性を維持するのは大変なんだろうな。
今画像で確認したらポニーテールだったみたい。わあ!
最後は、ばきゅーん☆ セクシーでかっこいい、そしてキュート!兄貴すげぇ!
◆Heartbroken by Johnny Weir
しっとりというか、少し悲しげなプログラム。でもジョニ天の歓声は相変わらず激しいw
わずかに白のラインが入った黒のタンクトップに黒スパッツ(でいいのかな?)という、ジョニーにしては珍しい、全くと言っていいほど装飾のない衣装。
モニターに映ったジョニーは大きな瞳でもの悲しげに虚空を見つめていて、純粋に美しいと思った。はあ~なんだこの二重。何このまつげ本物なの?
たしか囲み目で、左目の下に黒の縦ラインが短く入ったメイクだったかなあ。ということを今思い出したら、ああジョニーはPokerFaceが終わったあとお色直ししてたのか……と思った。
PokerFaceやI love you,I hate youのような、エロエロ全開な演技もジョニーらしくてとても好きだけど、こういったしっとりしたプログラムでも彼は十分に観客を魅了してくれる。きらびやかな衣装を見事に着こなすジョニーだけれど、彼の輝きは衣装によるものではないんだ。
この人は音楽に乗るというか、音楽を吸収するのがとてもうまいんじゃないかと思う。
最後に氷の上に倒れる格好になって、なんとなくプルシェンコのMaladeを思い出したけれど、そこからゆっくりと、自分の体を抱きしめるようなかたちでフィニッシュ。ランビエールのNe me quitte pasが感情を直球でさらけ出している感じなら、ジョニーのHeartbrokenは隠し切れない感情があふれてくる感じ。Heartbrokenという題名だけど、わたしの目には、なんだか寂しそうに映った。
というか、どんなプロ滑った後でも、お辞儀するときの彼の笑顔はなぜこんなにも可愛らしいのか!!まさに(n‘∀‘)n←これ。
と、ここで司会者と趙宏博が舞台上に現れて、前振りトーク。
あまりよく覚えてないので、大体の流れ的なものだと思ってください(´・ω・`)
「先ほどのプルシェンコの演技は観客を大いに盛り上げてくれましたね」
「僕は彼の気持ちが分かるよ。男として、ああいった筋肉には憧れるものだ」←おいwww
「次のプログラムでは、さきほどとは違う一面を見せてくれます」
◆Tango Amore by Evgeni Plushenko
これ!これMaladeやる予定だったんだねうわあああ!
Malade見たかったけど、まさかタンゴが生で見られるとは思っていなかったので、それはそれで嬉しい。この衣装の背中が大好き。
音楽がかかって、彼が片腕を振る動作とともにこちらを向くと、もうそこはプルシェンコの空気になる。これが皇帝とよばれる彼の貫禄というものか、と思わされる。全盛期より衰えたとか、そんなこと関係なくなってしまうくらいに、彼の一挙一動が、会場に彼の空気を広めてゆく。
クワドこそ跳んでいなかったけれど、3Aを2回と、3-3だったかな。ショーでも手を抜かないのか、手を抜いてこれなのか。彼があまりにもピョンピョン跳ぶものだから、わたしでも2Aくらいとべるんじゃねーの(゚∀゚)なんて思っちゃうじゃないか!
四ヶ所あるリンクサイドの席すべてに寄っていく、ファンサービスを考えた構成。わたしのちょうど向かいのあたりのリンクサイドに寄っていってうわさの腰振りをしていた。最前列のお姉さんたち死にそうだった。横断幕(って呼んでるけどあれバナーっていうの?)をばたばたしていた。お前それヤグディンのバナーちゃうんかと。
ああ、そうだ会場ではヤグディンのバナーがやたら目立っていたんだw あと雪組のでかいやつ。ジョニーのはこちら側にあったから見えなかったのかな。もちろんプルシェンコのバナーもあったけどね。ヤグディンバナーの隣とかにね。
関係ないけど気にせずMaladeの話するよ=^∀^=
Je Suis Malade――「僕は病気だ」。オリンピックのエキシビジョンの映像を初めて見たときは特に何とも思わなくて、最後のシャキーン⊂(`・ω・´)⊃がおもしれぇwとかそのくらいだったんだけれど、今は大好き。わたしの場合、時間が経ってだんだん好きになるプログラムというのは珍しい。
僕は病気だ。君なしでは生きてゆけない。もしこの愛を続ければ、僕は死ぬ。
歌詞を調べて、その歌詞がプルシェンコにシンクロして見えた瞬間、このプログラムの見方が変わった。マイ画像フォルダにMaladeの演技中と思われる画像があるのだけれど、なんというか、引き裂かれるような表情をしていて、あとTHE ICEの映像で見たこのプログラムの、少々乱暴にも思える激しいステップが彼の痛切な思いをあらわしている気がして、彼がこれをオリンピックのエキシビジョンに持ってきた気持ちを思うと恐ろしあ。
ぬぎっぱもそうだけど、気になる曲の歌詞を調べると、また違った発見があっておもしろい。特にこの曲は、プルシェンコのことを考えながら歌詞を読むと、いちいちドキッとさせられるんだ。
◆Impossible Dream by Qing Pang & Jian Tong
衣装からして、09-10シーズンのエキシ、でいいのかな。
女性が髪を下ろして滑るのはとっても素敵だな。ショートヘアもいいよね。
このショーを見に行けることになってから、雪組の動画を少しだけ見た。有名なトゥーランドットとか、バンクーバーオリンピックの映像とか、本当に少しだけ。
ただ8月の後半に無理な日程でバイトを入れてしまったこともあり、パントン、ちゃんず(という呼称が一般的みたいね)の動画を見る時間はなくなってしまったのだ。
ライブに行くなら、やっぱり予習をした方が楽しめると思う。ので、これは非常に残念だったというか、反省すべき点だ。まずペアについてよくわかっていないので、どうしても印象が弱くなってしまった。
とはいえ彼らがすばらしい選手であることに変わりはなく、会場は大いに沸いていた。個人的に、リフトやスロージャンプも好きだけれど、ふたりが離れているときの「間」というものが大好きだ。
このプログラムも割とバラード系だった気がするのだけれど、欲を言えばこうノリノリなペアプログラムというのも見てみたかったなあ。特に今回のショーのペアは、全体的にゆったり魅せる系が多かったので。
ペアに詳しい方、おすすめのプログラムがあったらぜひ教えてください!
◆Ballade by Mao Asada
もうお馴染みとなっているバラード。極端にシンプルな衣装がよく似合っていると思う。でもこれスカート部分が透けない厚さの生地か、もしくは(そんなことできるのか分からないけど)透けない厚さから裾に向かって徐々に薄くなるスカートだったらもっとよかったかもしれない。
綺麗だな、と素直に思った。ステップの要素とかそんなによく分かっていないけれど、できるだけひとつひとつの動きを、目を凝らして見てみた。からだの中心に、やわらかくてしなやかな芯が入っているような動きをするんだなあ。
確か最初のジャンプが抜けて、近くの人が「リンクの状態がよくないのかな」と不安そうにつぶやいていたけれど(ヤグディンも転んでたし)、2つ目のジャンプは成功だった気がする。このプログラムは本当にバレエ色が強いイメージなので、いっそのことジャンプがなくてもそれはそれでよさそうだ。
真央ちゃんは手足が長いのかな?と、オープニングとこのプログラムで思った。わたしは昔ちょびっとだけモダンバレエをやっていたのだけれど、わたしの姉は腕が長くて、そういう人って舞台上ですごくきれいに見えるんだ。シンプルな衣装だとそういうのが目立つということもある。
◆Sway by Alexei Yagudin
タイトルは「Sway」で、いいんだよね?
わたしの席から見て斜め向かいの客席から登場。最初は(゚д゚)アレ?アレ?となっていた観客も、スポットライトを辿ってみてびっくり。そして客いじり。
あのね、今からすごいひどいこと言うけどね……帽子被ってたせいもあるけど、一瞬普通の通りすがりのお客さんかと思ったんだ……一瞬だけだよ!!もう本当にごめんなさいww
これ階段のところで待機中のようす想像するとおもしろいけどね。
客席を降りていって、柵をよっこらせと乗り越え、靴の刃のカバーをシャキーン!シャキーン!と外す。
第一部のWinterで見せた、観客の呼吸を止めてしまいそうな迫力から一転、スマートというか、本人も観客も楽しくなるような演技。ただ彼の輝きはやっぱり消えなくて、多分どんなときでも、カードキャプターさくらの光と闇のカードの話のように、彼自身から発せられる光は消えないのだと思う。例えがきもくて申し訳ない。
途中でコロテーンとこけて腕立てをするところ、何この29歳超楽しそうって思った。いい笑顔だった。あとマニュアルに載せたいくらい綺麗な腕立てだった。
曲が一旦終わり、お客さんがぱらぱらと拍手をしだしたところで、まあリンクの端に寄っていたから予想はついていたけど、白いシャツをスパーンと脱ぐ。投げ捨てる。タンクトップ。
わたしはあまりむきむきした男性というのは好きではないのだけれど、ヤグディンの肩~腕の筋肉には思わず見惚れてしまう。そうか、あの腕立てがこのむきむきを作るのか!
脱いだあと寒そうに身体をかかえこみ、そのまま静止→拍手喝采。あの、プルシェンコのSexBombで脱いだ後もそうだったんだけど、これっていわゆる笑い待ちだよね。
うちにあった大喜利猿の本で「一番かしこいチンパンジーはどんなことまで出来てしまうのですか」→「笑い待ち」というのがあったけれど、わたしはSexBombを見ているときに、「そうか、一番すごいスケーターは笑い待ちまで出来てしまうのか」と思ったものだった。
ここからノリノリの音楽になるわけだけれど、もう終始お客さんを煽りっぱなし。手拍子とか。あまりそういうイメージがなかったので意外だったけれど、その甲斐あって異様なまでに盛り上がった。熱狂、という感じ。あのお断rヤグディンステップ→横向きヤグディンステップが本当にかっこよかった!
◆Turandot by Xue Shen & Hongbo Zhao
そして最後に登場したのは、もちろん雪組。トゥーランドットというのは、2003年に世界選手権で金メダルを獲得したときの伝説的プログラムなんだよね。8年越しの夢を叶えて万感の思いで滑るトゥーランドット。
雪さんは赤い布が長くたなびく扇子を持って登場。ひらひらしてとっても綺麗だった。趙さんの首にスカーフのように巻きつけて演技をしたり。
さきほどパントンのところで、ペアが離れているときの「間」について言及したけれど、この二人の間は本当にすごい。リンクの端と端にいても、手をつないでいるみたいに思えるんだ。二人の愛情、18年という歳月、そのどちらが欠けてもこうはならないと思う。
リンクの真ん中で抱き合うような格好で、雪さんが左手を伸ばしてフィニッシュだったと思うんだけれど、それからけっこう長く感じるくらいの間、お辞儀もせず、そのまま抱き合っていたのが印象的だった。雪さんが趙さんの背中をばんばん叩いて、本当になにもかもが嬉しくてたまらない、というように。あまりにも長い道を乗り越えた先の五輪の金メダルも、夢だった氷上結婚式も、中国フィギュアの歴史に名を残す初めてのショーも、その全てに対する感情の爆発、そんな感じだった。
大歓声の中、彼らが氷上を去るとともに、べつの音が響きわたる。
そしてフィナーレへ!
◆Finale
突如として陽気なリズムが聞こえ出す。どこからの音かと見回せば、舞台の上に4人のパーカッション奏者。
ライブで言うアンコール待ちのように、ずいぶんと長い時間、パーカッションにあわせて手拍子をしていたように思う。
詳しい流れは覚えていないけど、フィナーレ。オープニングと同じように、ひとりひとつの技を披露する感じ。プルシェンコはジャンプ、ヤグディンは確かステップ、ランビエールはスピン、真央は足をまっすぐ上にあげるスパイラル。ロシェットはたしか、ランビとほぼ同時に出てたんだったかなあ?もうスピンに視線を奪われていたよ。
え、ジョニー?そりゃもちろん仰向けで滑るアレですよ。ジョニバウアーで通じるのかな。ああ、やっぱり君はそれだよね(笑)!氷上のDIVAさんマジかっけーっす!!
で、どのタイミングかはちょっと忘れちゃったんだけど、リンクを回る→一箇所に集まるようなときに、なぜかロシェットとちびっこ一人だけその列から離脱していて。ロシェットが足を引きずっているように見えたので、何事!?と思ったのだけれど、なんとロシェットがちびっこと一緒に少し移動して、そこに散らばった何かを片付け始めた(笑)。多分、ちびっこが持っていたカゴに入っていた飾りの類だと思うんだけど。ロシェットの優しさに感動するとともに、そのシュールな画に笑ってしまった。保育園のお姉さんのような人だなぁ。
そしてリンクの端に集まった彼らがふたたび真ん中に出てきて、若干グダグダな礼。隣のおにいさんがうるさいから何かと思えば、ジョニーが当然のように薔薇冠を装備していた。誰かこのDIVAを止めろ(笑)。おまえは花嫁か!!
薔薇冠を袋に入れた人を、そういえば見た気がするのだけれど、どのタイミングで渡したんだ。転送魔法か。
リンクの南北側の席に礼をしてから、4分の1回転して東西側の席に礼をするんだけど、あれたしかヤグディンだったと思うけど、パーカッションにあわせて頭上で手拍子しながらトコトコ歩いててかわいかった。
そして全員がふたたびリンクを回る。気がついたら全員が立ち上がっていた。そのせいで見づらくなっちゃったけど、もうとにかく立ち上がらずにはいられない。
これぞスタンディングオベーション!
全員がリンクから去り、照明が点いてアナウンスが流れても、しばらく席を離れられなかった。混雑していたのもあるけれど、なんとなく動けなかった。頭の中に金色のもわもわみたいなのが広がっていて、それが消えるまで、ゆっくりとリンクを見つめて過ごした。
これでおしまいなら気持ちよく帰ってぐっすり眠れるけれど、わたしにはやらねばならないことがあったのです。
態度の悪い警備員が追い出しを始めて、わたしは残っていた唯一の懸念のために立ち上がるのでした。
以下余談。
わたしがやっていなかったこと、それは雪組へプレゼントを渡すこと。
投げ入れられるものではなかったので、どうしようどうしようとずっと考えていた。日本のショーなら受付に預けたり、そういう取り計らいもしてくれるのかもしれないけれど、ここは中国。
スタッフ的な人がいたら預けられないかと客席をうろうろしてみたが、なかなかいない。
客席を出るとみんな次々と帰ってゆくし、警備員が追い出しをしているし、本気であきらめようかと思った。持って帰って、他の人にあげたり、自分で使ったりすればいいじゃないかと。
ただ、ここで負けたらいけないと思った。ここは中国で、誰も助けてくれない、自分の力で押していかないと何も出来ない場所で、わたしはこの場所で生きていかなきゃならないのに、こんなところで負けてどうする。
目をつけたのは、出口のそばにあったスポンサーのテナント。ARTISTRYという化粧品会社のコーナーだ。スタッフTシャツを着た、わりと若いお兄さんが3人ほど座っていたので、一番弱そうな人に声をかける。
「出演者にプレゼントを渡したいのですが、どこに預ければいいんですか」
「いや俺ここのテナント担当だからわかんない」
まぁ、そうだよなぁ。ごめんねお兄さん。
「わたしも中国のことが全然分からないのでどうすればいいか一緒に考えてください」
「えっ」
まじごめんお兄さん。
わたしの押しに若干びびった様子のお兄さん、外国人と知って協力的になってくれた。
階段を下りると受付のようなものがあると思うので、そこで訊けと言われた。礼を言って、教えられた方向へ歩き出す。しかし階段がない。別のスタッフを捕まえて事情を説明し、階段まで案内してもらう。
「この階段のことだと思うよ」
「ありがとうございます!」
そして降りた先にあったのは、楽屋入り口。
受付とか存在しない。どういうことなの……。
目の前の出入り口の向こうには大量のファン。わたしのいるところには数名の観客、打ち上げの参加チケット(おぉ!)を持った人。古参ファンとおぼしき花束を持った外国人さんが、ジョニーと一緒に写真を撮っている。わあジョニーだー
…………わたしはここにいてはいけないのではないだろうか。一番高い席を買った人だけの特典とか、そういう場所に迷い込んでしまったのではないか。
と思ったけれど、とりあえずその場に立ち尽くす。家族連れとおぼしき人の後ろに隠れたけれど、この人たちも実は出演者の身内とかで、わたしは場違いなのではないかと不安になる。
多分、5分くらいそこにいたと思う。プルシェンコが通って、出口の外のファンが悲鳴を上げたけれど、係員の指示で別の廊下の方へ消えていった。灰色のスウェットだった。隣では金髪ツインテールの美女がくまのぬいぐるみをかかえていて、ああこれがプルシェンコの奥さんかと思った。低いツインテールめちゃくちゃ可愛かった。
と、わたしが隠れ蓑にしていたひとたちが、揃って移動を始めてしまう。ついて行くわけにもいかないので、思い切って楽屋の廊下に一歩だけ踏み入れて、そこにいたスタッフに声をかける。
「プレゼントを渡したいのですが、どうすればいいんですか」
すると、近くにいた超怖そうなおっさんが寄ってきた。
「何?プレゼント?誰に」
「申雪さんと趙宏博さんです」
「ふーん、じゃあこっち来て」
「え、入っていいんですか」
「うん。今本人いないから、楽屋に置いてきなよ」
このおっさんは天使の生まれ変わりだったのか。二人の楽屋の前まで案内してもらい、中にいたスタッフさんにプレゼントを渡して、おっさんに礼を言って、階段を駆け上がった。任務完了!テナントのお兄さんにもお礼を言って、外へ出た。いろいろな感情であたまがごちゃごちゃになっていて、日本語を喋っているっぽい二人組とすれ違ったけど、声をかける気も起きなかった。
なぜだかよくわからないけれど、泣きそうなのをずっとがまんしているような気分だった。
----------
そして反動で三日間引きこもったけれど、それはまた別の話。
聞き間違いじゃなければフィナーレのときに、司会者が「来年のARTISTRY on ICEでお会いしましょう」と言っていたと思う。
来年も開催されたとして、行くかどうかは分からない。
けれどとりあえず、これがわたしにとってのARTISTRY on ICEの全貌です。いつからかあまり感情を大きく揺り動かすことをよしとしなくなったわたしが、頭痛を起こすほど感動してしまったアイスショーでした。
ここから繋がっていけばいい。中国のフィギュアスケートが、ここから広がっていけばいい。
その大きな一歩目を目の当たりに出来たことを、嬉しく思う。
ここまで読んでくださって、どうもありがとうございました。文章のむずかしさを改めて知りました……(´-ω-`)
後半戦 第二部~さいごまで
◆斗牛舞 by Chinese Pairs
「斗牛」は中国語で闘牛のこと。闘の簡体字は斗、これ豆知識な!
休憩中、製氷の終わった頃から、リンクを横切るように赤い布がジグザグに5本渡されていく。
両端に布を持つ&巻き取るお仕事の人がいて、各ペアがその布の下に入った状態から始まるプログラム。布が5本ってことは、5組のペアでやる予定だったんだろうなぁ……張昊ぉ(´;ω;`) 名前がちょっとわからないんだけど、もう1ペア不参加になっちゃったのね。
全体的に赤と黒でまとめられた非常にかっこいい衣装で、中国のペア3組が共演するオリジナルのプログラム。熱く、かっこいい。
女性は最初赤のロングスカートで、途中からばさっ!とミニスカートの衣装に変わるのが印象的だった。ばさっ!と取ったほうの赤い布は男性がまさに闘牛のようにひらひらと振っていた。
いつも思うけど早着替え式の衣装ってどうなってるんだろう。プルシェンコの男女切り替えのやつとか、最近だとベルビン&アゴスト組の、幼馴染からカップルになるみたいなプログラムとか。まさかマジックテープじゃないよね? バリバリ←やめて!
それぞれ違ったポジションのリフトで輪を描いたり、迫力とキレのあるぴったりと揃った動きを存分に楽しめた。でもやっぱり、こんな貴重な機会を5組そろった状態で見られなかったのがとっても残念。くるくる輪を描くところとか、3組だとどうしても凄みに欠けてしまう。5組でやったら、きっともっとかっこよかっただろうになああああ(´;ω;`)
是非ともこれっきりにせず、またどこかで5組揃った状態で披露してほしい!!
最後は女性がばったりと倒れるような振り付けでフィニッシュ!あとリンクの両脇に、陸上で踊る(社交ダンスみたいなの)担当の人がいて面白かった。
◆Program by Chinese National Queen
ここで司会者から「今回の出演者の中で最年少のスケーターです」と紹介されたのは、弱冠13歳にして現在の中国女子シングル1位だというおんなのこ。
おそらく今季のSPであろう(適当予想)プログラムを披露してくれました。
照明が点いた瞬間「わあー」と声が上がるほど、もう本当にちっこくてちっこくて。ちっこい体を一生懸命に使っている感じが可愛かった。ジャンプは転んでもいたけど、なんだっけ3S?と2Aは跳んでたと思う。
プレゼントも投げ込まれてたし、お客さんから暖かい拍手をもらっていました。雪組と縁のある子だという情報は本当なのかなあ。しかし13歳でナショナル1位って、この子がすごいのか、上の層が薄いのか……シングルもがんばれよ中国!!
◆Ne me quitte pas by Stephane Lambiel
各選手、第一部か第二部のどちらかの出番前に、簡単なCMのような映像が流れるようになっていたんだけど。
ランビエールのCMの鮮やかなしまうま柄が目に入るとともに、わたしはふと氷上に目を移して、そこにたたずむ彼の衣装、そのシルエットはどう見てもNe me quitte pasのものだったから、拍手も歓声も呼吸もなにもかも忘れて、ただ一言「ぬぎっぱだ……!!!」と呟いて、それからもう、プログラムが終わるまで微動だにできなかった。
#1で言及したことがあるけれど、わたしにとってこのプログラムは、フィギュアスケートを好きになるきっかけだったのだ。
今思えば、一目惚れだった。
曲を好きになるほど何度も見て、歌詞だって調べて、けど、生で見られることなどないだろうと、思っていたのだ。
透きとおった、だけど悲しげな瞳で、顔をふっ、と横へ向けるしぐさからこのプログラムは始まる。低い声にあわせて、流れるように彼は滑り出す。「行かないで」。それまで誰も語らなかった、愛に屈服する男性の姿を、ジャック・ブレルが初めて歌ったものだ。
痛切に「行かないで」と繰り返すこの歌を、ランビエールはどう感じたのだろうと、かつてわたしは考えたものだった。
その答えは、彼のスケートの中にあった。
ランビエールの指先が、首が、ひとつひとつの動作が「行かないで」と言っていた。ああ、今この瞬間、この歌は彼の歌になっている、そんな風に感じた。強い悲しみが霧のように濃く会場を満たしていて、わたしまで何かに、手の届かない何かに対して「行かないで」と言っているような、強烈に後ろ髪を引かれるような気持ちになってしまう。
氷に膝をついたうなだれるようなポーズ、「行かないで」という歌詞に合わせて手を伸ばすポーズ。スピンは第一部と変わらず美しいのに、悲しさが彼を衝き動かしているように見える。届くことのない何かに向かって伸ばした右手は何も掴めずに空を切る。はるか遠くへ行ってしまってもまだ未練を捨てきれず、その右手は「行かないで」と言っている。
…………あの空間を言葉であらわすことは不可能だったorz
とにかく、その場では何も思えなかったんだけど、今思い返したら「あのときNe me quitte pasは彼の歌だった」という言葉しか出てこない。ジャンプにもスピンにも、拍手をするということを忘れていた。
表現力というものが何なのか、わたしにはいまいちよく分からないのだけれど、やはり初めて動画で見たときと同じように、これが表現力だ、これが芸術だと、感じた。
うわさの毛玉衣装は生で見るとそこまで変でもなかった。動くたびにきらきらと揺れる。涙に見えなくもない。
でも膝をつくあのポーズで拍手喝采はねぇよw
あと、巨大てんとう虫ぬいぐるみ投げ込んだやつ出て来いw ちびっこ超大変そうだったぞw
◆Die Another Day by Joannie Rochette
これ、とってもかっこよかった。以前のエキシだそうだ。
最初は後ろで組んだ手に黒い布が巻き付いていて、某選手の某拘束服プロを思い出してなんかないんだからね!
第一部とは打って変わって、かっこよくリズミカル、かつセクシーな感じ。しかしパンツスタイルの衣装がよく似合うなあ。
リンクに座ったり膝をついたりする部分は、おお、欧米のおなごはセクシーだなあと思ってしまった。おなごって(笑)年上だよ。でも本当に、アジア人にはどうやったって出せない妖艶さがあると思う。
こちらでもイナバウアー(レイバックじゃない)をやっていたので得意なのかなーと思ったんだけど、ロシェットは筋肉がつきやすい体質だとどこかで聞いたことがあるから、優雅な動きや柔軟性を維持するのは大変なんだろうな。
今画像で確認したらポニーテールだったみたい。わあ!
最後は、ばきゅーん☆ セクシーでかっこいい、そしてキュート!兄貴すげぇ!
◆Heartbroken by Johnny Weir
しっとりというか、少し悲しげなプログラム。でもジョニ天の歓声は相変わらず激しいw
わずかに白のラインが入った黒のタンクトップに黒スパッツ(でいいのかな?)という、ジョニーにしては珍しい、全くと言っていいほど装飾のない衣装。
モニターに映ったジョニーは大きな瞳でもの悲しげに虚空を見つめていて、純粋に美しいと思った。はあ~なんだこの二重。何このまつげ本物なの?
たしか囲み目で、左目の下に黒の縦ラインが短く入ったメイクだったかなあ。ということを今思い出したら、ああジョニーはPokerFaceが終わったあとお色直ししてたのか……と思った。
PokerFaceやI love you,I hate youのような、エロエロ全開な演技もジョニーらしくてとても好きだけど、こういったしっとりしたプログラムでも彼は十分に観客を魅了してくれる。きらびやかな衣装を見事に着こなすジョニーだけれど、彼の輝きは衣装によるものではないんだ。
この人は音楽に乗るというか、音楽を吸収するのがとてもうまいんじゃないかと思う。
最後に氷の上に倒れる格好になって、なんとなくプルシェンコのMaladeを思い出したけれど、そこからゆっくりと、自分の体を抱きしめるようなかたちでフィニッシュ。ランビエールのNe me quitte pasが感情を直球でさらけ出している感じなら、ジョニーのHeartbrokenは隠し切れない感情があふれてくる感じ。Heartbrokenという題名だけど、わたしの目には、なんだか寂しそうに映った。
というか、どんなプロ滑った後でも、お辞儀するときの彼の笑顔はなぜこんなにも可愛らしいのか!!まさに(n‘∀‘)n←これ。
と、ここで司会者と趙宏博が舞台上に現れて、前振りトーク。
あまりよく覚えてないので、大体の流れ的なものだと思ってください(´・ω・`)
「先ほどのプルシェンコの演技は観客を大いに盛り上げてくれましたね」
「僕は彼の気持ちが分かるよ。男として、ああいった筋肉には憧れるものだ」←おいwww
「次のプログラムでは、さきほどとは違う一面を見せてくれます」
◆Tango Amore by Evgeni Plushenko
これ!これMaladeやる予定だったんだねうわあああ!
Malade見たかったけど、まさかタンゴが生で見られるとは思っていなかったので、それはそれで嬉しい。この衣装の背中が大好き。
音楽がかかって、彼が片腕を振る動作とともにこちらを向くと、もうそこはプルシェンコの空気になる。これが皇帝とよばれる彼の貫禄というものか、と思わされる。全盛期より衰えたとか、そんなこと関係なくなってしまうくらいに、彼の一挙一動が、会場に彼の空気を広めてゆく。
クワドこそ跳んでいなかったけれど、3Aを2回と、3-3だったかな。ショーでも手を抜かないのか、手を抜いてこれなのか。彼があまりにもピョンピョン跳ぶものだから、わたしでも2Aくらいとべるんじゃねーの(゚∀゚)なんて思っちゃうじゃないか!
四ヶ所あるリンクサイドの席すべてに寄っていく、ファンサービスを考えた構成。わたしのちょうど向かいのあたりのリンクサイドに寄っていってうわさの腰振りをしていた。最前列のお姉さんたち死にそうだった。横断幕(って呼んでるけどあれバナーっていうの?)をばたばたしていた。お前それヤグディンのバナーちゃうんかと。
ああ、そうだ会場ではヤグディンのバナーがやたら目立っていたんだw あと雪組のでかいやつ。ジョニーのはこちら側にあったから見えなかったのかな。もちろんプルシェンコのバナーもあったけどね。ヤグディンバナーの隣とかにね。
関係ないけど気にせずMaladeの話するよ=^∀^=
Je Suis Malade――「僕は病気だ」。オリンピックのエキシビジョンの映像を初めて見たときは特に何とも思わなくて、最後のシャキーン⊂(`・ω・´)⊃がおもしれぇwとかそのくらいだったんだけれど、今は大好き。わたしの場合、時間が経ってだんだん好きになるプログラムというのは珍しい。
僕は病気だ。君なしでは生きてゆけない。もしこの愛を続ければ、僕は死ぬ。
歌詞を調べて、その歌詞がプルシェンコにシンクロして見えた瞬間、このプログラムの見方が変わった。マイ画像フォルダにMaladeの演技中と思われる画像があるのだけれど、なんというか、引き裂かれるような表情をしていて、あとTHE ICEの映像で見たこのプログラムの、少々乱暴にも思える激しいステップが彼の痛切な思いをあらわしている気がして、彼がこれをオリンピックのエキシビジョンに持ってきた気持ちを思うと恐ろしあ。
ぬぎっぱもそうだけど、気になる曲の歌詞を調べると、また違った発見があっておもしろい。特にこの曲は、プルシェンコのことを考えながら歌詞を読むと、いちいちドキッとさせられるんだ。
◆Impossible Dream by Qing Pang & Jian Tong
衣装からして、09-10シーズンのエキシ、でいいのかな。
女性が髪を下ろして滑るのはとっても素敵だな。ショートヘアもいいよね。
このショーを見に行けることになってから、雪組の動画を少しだけ見た。有名なトゥーランドットとか、バンクーバーオリンピックの映像とか、本当に少しだけ。
ただ8月の後半に無理な日程でバイトを入れてしまったこともあり、パントン、ちゃんず(という呼称が一般的みたいね)の動画を見る時間はなくなってしまったのだ。
ライブに行くなら、やっぱり予習をした方が楽しめると思う。ので、これは非常に残念だったというか、反省すべき点だ。まずペアについてよくわかっていないので、どうしても印象が弱くなってしまった。
とはいえ彼らがすばらしい選手であることに変わりはなく、会場は大いに沸いていた。個人的に、リフトやスロージャンプも好きだけれど、ふたりが離れているときの「間」というものが大好きだ。
このプログラムも割とバラード系だった気がするのだけれど、欲を言えばこうノリノリなペアプログラムというのも見てみたかったなあ。特に今回のショーのペアは、全体的にゆったり魅せる系が多かったので。
ペアに詳しい方、おすすめのプログラムがあったらぜひ教えてください!
◆Ballade by Mao Asada
もうお馴染みとなっているバラード。極端にシンプルな衣装がよく似合っていると思う。でもこれスカート部分が透けない厚さの生地か、もしくは(そんなことできるのか分からないけど)透けない厚さから裾に向かって徐々に薄くなるスカートだったらもっとよかったかもしれない。
綺麗だな、と素直に思った。ステップの要素とかそんなによく分かっていないけれど、できるだけひとつひとつの動きを、目を凝らして見てみた。からだの中心に、やわらかくてしなやかな芯が入っているような動きをするんだなあ。
確か最初のジャンプが抜けて、近くの人が「リンクの状態がよくないのかな」と不安そうにつぶやいていたけれど(ヤグディンも転んでたし)、2つ目のジャンプは成功だった気がする。このプログラムは本当にバレエ色が強いイメージなので、いっそのことジャンプがなくてもそれはそれでよさそうだ。
真央ちゃんは手足が長いのかな?と、オープニングとこのプログラムで思った。わたしは昔ちょびっとだけモダンバレエをやっていたのだけれど、わたしの姉は腕が長くて、そういう人って舞台上ですごくきれいに見えるんだ。シンプルな衣装だとそういうのが目立つということもある。
◆Sway by Alexei Yagudin
タイトルは「Sway」で、いいんだよね?
わたしの席から見て斜め向かいの客席から登場。最初は(゚д゚)アレ?アレ?となっていた観客も、スポットライトを辿ってみてびっくり。そして客いじり。
あのね、今からすごいひどいこと言うけどね……帽子被ってたせいもあるけど、一瞬普通の通りすがりのお客さんかと思ったんだ……一瞬だけだよ!!もう本当にごめんなさいww
これ階段のところで待機中のようす想像するとおもしろいけどね。
客席を降りていって、柵をよっこらせと乗り越え、靴の刃のカバーをシャキーン!シャキーン!と外す。
第一部のWinterで見せた、観客の呼吸を止めてしまいそうな迫力から一転、スマートというか、本人も観客も楽しくなるような演技。ただ彼の輝きはやっぱり消えなくて、多分どんなときでも、
途中でコロテーンとこけて腕立てをするところ、何この29歳超楽しそうって思った。いい笑顔だった。あとマニュアルに載せたいくらい綺麗な腕立てだった。
曲が一旦終わり、お客さんがぱらぱらと拍手をしだしたところで、まあリンクの端に寄っていたから予想はついていたけど、白いシャツをスパーンと脱ぐ。投げ捨てる。タンクトップ。
わたしはあまりむきむきした男性というのは好きではないのだけれど、ヤグディンの肩~腕の筋肉には思わず見惚れてしまう。そうか、あの腕立てがこのむきむきを作るのか!
脱いだあと寒そうに身体をかかえこみ、そのまま静止→拍手喝采。あの、プルシェンコのSexBombで脱いだ後もそうだったんだけど、これっていわゆる笑い待ちだよね。
うちにあった大喜利猿の本で「一番かしこいチンパンジーはどんなことまで出来てしまうのですか」→「笑い待ち」というのがあったけれど、わたしはSexBombを見ているときに、「そうか、一番すごいスケーターは笑い待ちまで出来てしまうのか」と思ったものだった。
ここからノリノリの音楽になるわけだけれど、もう終始お客さんを煽りっぱなし。手拍子とか。あまりそういうイメージがなかったので意外だったけれど、その甲斐あって異様なまでに盛り上がった。熱狂、という感じ。あの
◆Turandot by Xue Shen & Hongbo Zhao
そして最後に登場したのは、もちろん雪組。トゥーランドットというのは、2003年に世界選手権で金メダルを獲得したときの伝説的プログラムなんだよね。8年越しの夢を叶えて万感の思いで滑るトゥーランドット。
雪さんは赤い布が長くたなびく扇子を持って登場。ひらひらしてとっても綺麗だった。趙さんの首にスカーフのように巻きつけて演技をしたり。
さきほどパントンのところで、ペアが離れているときの「間」について言及したけれど、この二人の間は本当にすごい。リンクの端と端にいても、手をつないでいるみたいに思えるんだ。二人の愛情、18年という歳月、そのどちらが欠けてもこうはならないと思う。
リンクの真ん中で抱き合うような格好で、雪さんが左手を伸ばしてフィニッシュだったと思うんだけれど、それからけっこう長く感じるくらいの間、お辞儀もせず、そのまま抱き合っていたのが印象的だった。雪さんが趙さんの背中をばんばん叩いて、本当になにもかもが嬉しくてたまらない、というように。あまりにも長い道を乗り越えた先の五輪の金メダルも、夢だった氷上結婚式も、中国フィギュアの歴史に名を残す初めてのショーも、その全てに対する感情の爆発、そんな感じだった。
大歓声の中、彼らが氷上を去るとともに、べつの音が響きわたる。
そしてフィナーレへ!
◆Finale
突如として陽気なリズムが聞こえ出す。どこからの音かと見回せば、舞台の上に4人のパーカッション奏者。
ライブで言うアンコール待ちのように、ずいぶんと長い時間、パーカッションにあわせて手拍子をしていたように思う。
詳しい流れは覚えていないけど、フィナーレ。オープニングと同じように、ひとりひとつの技を披露する感じ。プルシェンコはジャンプ、ヤグディンは確かステップ、ランビエールはスピン、真央は足をまっすぐ上にあげるスパイラル。ロシェットはたしか、ランビとほぼ同時に出てたんだったかなあ?もうスピンに視線を奪われていたよ。
え、ジョニー?そりゃもちろん仰向けで滑るアレですよ。ジョニバウアーで通じるのかな。ああ、やっぱり君はそれだよね(笑)!氷上のDIVAさんマジかっけーっす!!
で、どのタイミングかはちょっと忘れちゃったんだけど、リンクを回る→一箇所に集まるようなときに、なぜかロシェットとちびっこ一人だけその列から離脱していて。ロシェットが足を引きずっているように見えたので、何事!?と思ったのだけれど、なんとロシェットがちびっこと一緒に少し移動して、そこに散らばった何かを片付け始めた(笑)。多分、ちびっこが持っていたカゴに入っていた飾りの類だと思うんだけど。ロシェットの優しさに感動するとともに、そのシュールな画に笑ってしまった。保育園のお姉さんのような人だなぁ。
そしてリンクの端に集まった彼らがふたたび真ん中に出てきて、若干グダグダな礼。隣のおにいさんがうるさいから何かと思えば、ジョニーが当然のように薔薇冠を装備していた。誰かこのDIVAを止めろ(笑)。おまえは花嫁か!!
薔薇冠を袋に入れた人を、そういえば見た気がするのだけれど、どのタイミングで渡したんだ。転送魔法か。
リンクの南北側の席に礼をしてから、4分の1回転して東西側の席に礼をするんだけど、あれたしかヤグディンだったと思うけど、パーカッションにあわせて頭上で手拍子しながらトコトコ歩いててかわいかった。
そして全員がふたたびリンクを回る。気がついたら全員が立ち上がっていた。そのせいで見づらくなっちゃったけど、もうとにかく立ち上がらずにはいられない。
これぞスタンディングオベーション!
全員がリンクから去り、照明が点いてアナウンスが流れても、しばらく席を離れられなかった。混雑していたのもあるけれど、なんとなく動けなかった。頭の中に金色のもわもわみたいなのが広がっていて、それが消えるまで、ゆっくりとリンクを見つめて過ごした。
これでおしまいなら気持ちよく帰ってぐっすり眠れるけれど、わたしにはやらねばならないことがあったのです。
態度の悪い警備員が追い出しを始めて、わたしは残っていた唯一の懸念のために立ち上がるのでした。
以下余談。
わたしがやっていなかったこと、それは雪組へプレゼントを渡すこと。
投げ入れられるものではなかったので、どうしようどうしようとずっと考えていた。日本のショーなら受付に預けたり、そういう取り計らいもしてくれるのかもしれないけれど、ここは中国。
スタッフ的な人がいたら預けられないかと客席をうろうろしてみたが、なかなかいない。
客席を出るとみんな次々と帰ってゆくし、警備員が追い出しをしているし、本気であきらめようかと思った。持って帰って、他の人にあげたり、自分で使ったりすればいいじゃないかと。
ただ、ここで負けたらいけないと思った。ここは中国で、誰も助けてくれない、自分の力で押していかないと何も出来ない場所で、わたしはこの場所で生きていかなきゃならないのに、こんなところで負けてどうする。
目をつけたのは、出口のそばにあったスポンサーのテナント。ARTISTRYという化粧品会社のコーナーだ。スタッフTシャツを着た、わりと若いお兄さんが3人ほど座っていたので、一番弱そうな人に声をかける。
「出演者にプレゼントを渡したいのですが、どこに預ければいいんですか」
「いや俺ここのテナント担当だからわかんない」
まぁ、そうだよなぁ。ごめんねお兄さん。
「わたしも中国のことが全然分からないのでどうすればいいか一緒に考えてください」
「えっ」
まじごめんお兄さん。
わたしの押しに若干びびった様子のお兄さん、外国人と知って協力的になってくれた。
階段を下りると受付のようなものがあると思うので、そこで訊けと言われた。礼を言って、教えられた方向へ歩き出す。しかし階段がない。別のスタッフを捕まえて事情を説明し、階段まで案内してもらう。
「この階段のことだと思うよ」
「ありがとうございます!」
そして降りた先にあったのは、楽屋入り口。
受付とか存在しない。どういうことなの……。
目の前の出入り口の向こうには大量のファン。わたしのいるところには数名の観客、打ち上げの参加チケット(おぉ!)を持った人。古参ファンとおぼしき花束を持った外国人さんが、ジョニーと一緒に写真を撮っている。わあジョニーだー
…………わたしはここにいてはいけないのではないだろうか。一番高い席を買った人だけの特典とか、そういう場所に迷い込んでしまったのではないか。
と思ったけれど、とりあえずその場に立ち尽くす。家族連れとおぼしき人の後ろに隠れたけれど、この人たちも実は出演者の身内とかで、わたしは場違いなのではないかと不安になる。
多分、5分くらいそこにいたと思う。プルシェンコが通って、出口の外のファンが悲鳴を上げたけれど、係員の指示で別の廊下の方へ消えていった。灰色のスウェットだった。隣では金髪ツインテールの美女がくまのぬいぐるみをかかえていて、ああこれがプルシェンコの奥さんかと思った。低いツインテールめちゃくちゃ可愛かった。
と、わたしが隠れ蓑にしていたひとたちが、揃って移動を始めてしまう。ついて行くわけにもいかないので、思い切って楽屋の廊下に一歩だけ踏み入れて、そこにいたスタッフに声をかける。
「プレゼントを渡したいのですが、どうすればいいんですか」
すると、近くにいた超怖そうなおっさんが寄ってきた。
「何?プレゼント?誰に」
「申雪さんと趙宏博さんです」
「ふーん、じゃあこっち来て」
「え、入っていいんですか」
「うん。今本人いないから、楽屋に置いてきなよ」
このおっさんは天使の生まれ変わりだったのか。二人の楽屋の前まで案内してもらい、中にいたスタッフさんにプレゼントを渡して、おっさんに礼を言って、階段を駆け上がった。任務完了!テナントのお兄さんにもお礼を言って、外へ出た。いろいろな感情であたまがごちゃごちゃになっていて、日本語を喋っているっぽい二人組とすれ違ったけど、声をかける気も起きなかった。
なぜだかよくわからないけれど、泣きそうなのをずっとがまんしているような気分だった。
----------
そして反動で三日間引きこもったけれど、それはまた別の話。
聞き間違いじゃなければフィナーレのときに、司会者が「来年のARTISTRY on ICEでお会いしましょう」と言っていたと思う。
来年も開催されたとして、行くかどうかは分からない。
けれどとりあえず、これがわたしにとってのARTISTRY on ICEの全貌です。いつからかあまり感情を大きく揺り動かすことをよしとしなくなったわたしが、頭痛を起こすほど感動してしまったアイスショーでした。
ここから繋がっていけばいい。中国のフィギュアスケートが、ここから広がっていけばいい。
その大きな一歩目を目の当たりに出来たことを、嬉しく思う。
ここまで読んでくださって、どうもありがとうございました。文章のむずかしさを改めて知りました……(´-ω-`)

宣言どおり行ってきました(一人で)、雪組の結婚式アイスショーことARTISTRY on ICE。
長いくせに全然人の参考にならない感想を、自分のためでもないけれど、いてもたってもいられずに書きます。多分記憶違いもたくさんあるし、感情的だし、すごく誰得な構造になっていると思うのですが、それでも誰かが何かを得られればいいなと思い、とりあえず書きます。
本当は映像が上がってくる週末まで待ちたいところだけれど、それじゃあ映像の感想になっちゃいますね。
アイスショー自体初めてで色々変なところもあるかと思いますが、あくまで感想もどきということで、ゆっる~くご覧下さい。
あとすごく長いので覚悟してご覧下さい……(´・ω・`) 9/11レイアウトをちょこっと修正
氷上雅姿盛典~ARTISTRY on ICE 感想
前半戦 開始前~第一部まで
まったく個人的な事情により早朝から一日中出歩いていて、首都体育館に向かうときには既にへとへと。
国家図書館駅に着いたときから洗礼が待っていた。こっちのダフ屋は積極的に売らないか買わないかと持ちかけてくる。道中ずっと、だ。すごく不快に思うけど、これが中国だから受け入れるしかない。
体育館の前に着いたのは開場の30分ほど前、17時前後だったと思う。
そのときにはもう、

ジョニ天中国支部の皆さんが超元気だった。Johnny's Angel、略してジョニ天。
おそろいのTシャツに、全員PokerFaceメイク。到着した支部隊員たちに幹部(?)が次々とメイクしていく。ざっと30人はいそう。
日本人探しをあきらめてその辺に座っていたら、中国人のおねいさんに話しかけられる。一人で来たらしい。
「誰を見に来たの?」
「みんなです。フィギュアを生で見るのは初めてなので」
「私はね……私はヤグディンを見に来たよ……!!」
ヤグヲタの方だった(゚∀゚)!!
このおねいさん、割と早い時間から体育館付近で張っていたらしく、外出するヤグディンの写真を何枚か撮り(サイン中とか)、そしてパンフレットにサインをもらっていた!!
「おおおおおおアレクセイ!アレクセイ!」
「アレクセイ!もう超感動!!」
もうテンションが壊れ始める。ちなみにその写真のヤグディンの服装はお察しのとおり短パンだ。首に何か巻いていたと思う。サングラスを額にかけていたかもしれない。
ちなみに「普段はアイドルの追っかけとかしないのにヤグディンだけは別格」なおねいさん曰く、ジョニ天の皆様はヤグディンが出てきても全然騒いだりしないそうだ。一途な愛っていいね。
開場までヤグプルトーク。ヤグヲタのおねいさん的にはどうしてもプルシェンコは芸術性、表現力に乏しく感じてしまうのだそうだ。
女子の話もふったけど、女子はミシェル・クワン世代くらいまでしか見てないらしい(*´∀`*)アチャー
おねいさんが「最近の選手はどれも一長一短という感じで、強烈なカリスマ性を持った選手がいない気がする」と熱く語っている頃、

ジョニ天、集合写真。ははははは!!少し距離があったので、もう見るたび声をあげて笑っていた。
ほどなく開場(でも開演まで二時間ある)。荷物検査官の態度の悪さに絶望……したかったが、まあ、こんなことには慣れているさ。
前の記事に載せた大体の位置はなんと誤報だった。VIP席の反対側だと思っていたら、わたしの席はVIP席の後ろ数列目だった。真ん中近く。たとえるならヤグディンが自分の人差し指の第一関節くらいの大きさに見える位置。

自分の席から。
後ろのほうの席を振り返ったら高所恐怖症でもないのにめまいがした。一番後ろとか、興奮してこけたら転がり落ちると思った。劇場の三階席みたいなかんじ。
めがねをかけたり双眼鏡のピントを合わせたりしていると、近くの席にいた、いかにも中国のもやし男といったかんじの人が話しかけてくる。
「誰を見に来たの?」
「みんな好きです。あなたは?」
「俺はランビエールだね」
ランビヲタ22歳男性(゚д゚)!!
その人と話していて開演までの暇つぶしができたのは助かったのだけれど、なんか私の隣の人と交換して隣に座ってきていらついた。開演後はその人思ったことを大声で野次とばすタイプの人で、結構な頻度であー!とかおー!とか、中国語でかっこいいー!とかその他色々を超大声で叫んでてそういう人苦手なので本気できつかった。けっきょくわたしは信頼のおけるごく一部の人間以外とは一緒にいたくないんだな。演技間のちょっとした言葉は無視と頷きの中間の姿勢をとって受け流した。
開演待ちのあいだに流れたダイジェストムービーを見たら、趙宏博が車椅子に乗っている映像があった。1回転ジャンプで転倒していた。
……わたしが結婚おめでとうとか金メダルおめでとうとか思うよりもずっと、ずっと長く複雑な道を経て、彼らはここで結婚式を挙げるんだなぁ。シングルを中心に見ていたわたしは何も知らないんだなぁ、と、あらためて実感した。
もちろん、知らない何かを知るために来たショーだ。

VIP席はクッションのついた座席になっていた。しかも各席にいっこずつおみやげ的なものが置いてあった。入り口も別だった。
いちばん見やすい場所というだけでリンクにいちばん近いというわけではないので、出演者のファンサービスは主に見づらいけどリンクに近い席の人に注がれていた。一番高い席の中にも、アリーナ席のような近い席と見やすい席とがあったらしい。
開演30分前から流れていたCMはプルシェンコだけ苗字のみだった。普魯申科だった。ヤグディンは阿列克謝・亜古丁だったのに。
そしてショーが、始まる!!
◆Opening
2組のペアから始まり、群舞。そのあと全員が舞台の前に並び、主役が登場、という流れ。
燕尾服の趙宏博が片膝をついて構える。子供たちが両手を伸ばしてつくった雑すぎる花道を、ウエディングドレス姿の申雪が通る。そして結婚行進曲!
モニターには申&趙のコーチ、やおびん先生がピアノを弾いている映像。なにそれすごいwwかわいいコーチだなあwwww
全員が舞台の方に並んだあと、司会者が出てきて、二人の歴史を軽く振り返る映像が流れて、本当に披露宴みたいだった。18年かぁ。私の今までの人生のほとんどくらいの時間を、かれらは二人で過ごしてきたんだ。
ジョニー、ヤグディン、真央が簡単な祝辞。
真央がマイクを持った瞬間大歓声……だが出てきた言葉は完全なカタカナ英語。
まおちゃん英語にがてなんだね(´・ω・`)がんばったね(´・ω・`)
会場が暖かい笑いに包まれたので、それはそれでよかったかもw
祝辞を言って申趙とハグをした人から一人ずつ舞台袖へ戻っていき、残った人たちも順々に二人をハグして祝福する。
ちょうどランビエールと雪さんが最後にハグをする形になり、会場から歓声が上がっていた。ランビのハグのしかたはとってもやさしく、愛情に満ち溢れているようにみえた。こーのーフェミニストめ!
次に中国の有名な歌手、張靚穎が登場して、歌を披露。「我相信」――I Believeという曲で、すてきな歌だった。彼女は申趙の知り合いでもあるらしい。
「初めて会ったのはある集まりでのことだったんだけど」と彼女は言う。「その集まりのあいだ、かれらはどの瞬間も二人でいたの」
中国ではそういった二人を「形影不離」という。胡蝶双飛、形影不離。中の良い夫婦を、寄り添って飛ぶ二匹の蝶にたとえる言葉だ。しかしそんな慣用句以上に、迫力のあるアクロバティックな演技をぴったり決める二人に、「胡蝶双飛」という言葉はよく似合っている。
彼女が「あとは、“棗生桂子”も大事よね」と暖かい言葉で締めくくる。食べ物の名前に「早いうちに、すてきな子を授かる」という意味をかけた「諧音」、駄洒落のようなものだ。
◆天下無双 by Xue Shen & Hongbo Zhao with Xinying Zhang
彼女の歌「天下無双」に合わせた申趙のプログラム。白黒のシンプルで美しい衣装。
ペアの演技は見慣れていないので、くわしいことはよくわからない。「もうこれイーグルこれ!うつくしいーぐる!」とはっきり思ったぐらいで、あとはなんというか、一挙一動からお互いへの愛情とか、信頼とか、そういったものが感じられる、ゆったりとした美しい演技だった、と思う。
セットリストにこだわるタイプではないので順番はあまり覚えていないのだけど、ここからはネットにあがっていたセットリストを参考にします。
◆Poker Face by Johnny Weir
隣にいたうるさいおにいさんが「ポーカーフェイスが最初だよwww」とかネタバレしてくださっていたので、そんなにびっくりもしなかったけれど、ジョニーが現れた瞬間、ジョニ天の皆さん一気にヒートアップ。最初から割れんばかりの手拍子と歓声。
もうね、この人、本当にすてき。音楽にぴったり合ったキレのある動き。一挙手一投足に拍手喝采。中国のお客さんはすごくうるさい。スピンとか始まった直後から大騒ぎ!
去年からやっているこのプログラムは、ジョニーの代表作といえる気がする。本人も大好きな曲だろうし、色々と吹っ切れたというか、ジョニーが遠慮せずにジョニーらしさを出すのって、とてもすてきだと思う。それを嫌う人はいるだろうけれど、好きな人はちゃんとついてくる。数十人のジョニ天中国支部隊員も、わたしも。
◆My Immortal by Joannie Rochette
実はロシェットの演技をみるのは初めて。オリンピックの映像とか、見ればよかったなあ。
バラード系の歌のプログラム。筋肉とか兄貴とかいわれているロシェットだけれど、生で見た彼女は普通のきれいなお姉さんだった。
イナバウアーが得意なのかな。5種トリプルをクリーンに跳び分ける選手なんていうから、なんとなくジャンパーだと思っていたけれど、ジャンプの少ないプログラムも普通に楽しめた。
と、ここで残念なお知らせ。
隣のうるさい人からも聞いていたのだけれど、張丹・張昊ペアが突然不参加になってしまったという。なんと張昊が手を骨折?してしまったらしい。
指を包帯でぐるぐる巻きにした痛々しい姿で司会者のところに登場。お祝いを述べて、自分の怪我は二ヶ月ほどかかると言っていた。彼らの演技が見られなくて残念。GPシリーズには間に合うのかな……。
関係ないけど張丹がかわいすぎて本気でびびった。
司会者「次のスケーターはあなたたちのお友達でしょ?あなたたちから紹介して!」
張丹・張昊「……す、ステファン・ランビエール!(笑)」←声が揃わずグダグダにw
◆Let the Good Times Roll by Stephane Lambiel
キターーーー!!!!!胡散臭いランビ(褒め言葉)きたあああ!!
ネットで何度も見ていたプログラム。ランビといえば優雅なイメージが強かったんだけど、こういう俗っぽいというか、こういうのもいいな~と思っていたので、本当に大好き。あと首の動きも堪能できるプログラムじゃないかと思う。
とにかく楽しそうに滑っていてうっとり!上着を脱いだあとの手で仰ぐあたりがとくに楽しそうだった。
初めて生で見るランビのスピンは、変な言い方だけど回っているのに動かないというか、「止まっている」ように思えた。
ランビを生で見られるというだけで感無量だったわけだけど、プログラムの発表を知らなかったわたしはショーまでの間、「この人は何やるんだろう」とわくわく想像して楽しんでいました。
ランビに関しては、Let the Good Times Rollはまぁやるだろうと思っていた。陽気なプログラムだし。で、もう一曲が気になっていて……テルか椿姫、テルの方が確率高いかなとかまったく根拠のない謎の予想をしていました。Ne me quitte pas、通称ぬぎっぱをやってくれたらとても嬉しいけれど、結婚式という雰囲気じゃないし無理だろうな……と。プルシェンコのMaladeも大好きだけど見られないだろうなーと。
まあ、そんなふうにして勝手に後半戦へのフラグを立てていたわけです。
◆Tango by Mao Asada
男子選手に負けないくらいの歓声。日本人の「まおちゃーん!」という声もしていたけど、中国人のみなさんも盛り上がってくれていたようで、何故かわたしが安心。
暗い中で衣装を見たときカプリースかと思ったけど、なんと新SPであるタンゴのお披露目だったらしい!!
衣装は赤と黒が基調で、ギラギラしてかっこよかった(←その場で素直に思ったことw)。
翌日まであれが新SPだと気づいていなかったのでw、内容はそこまで覚えてないけれど、ステップ~フィニッシュで「あ、かっこいい!」と思ったのは覚えている。
ジャンプはまだ万全とはいえない状態のようで、冒頭の2Aで転倒、そのあともジャンプ抜けがいくつかあったけれど、自分は特に気にならなかった。もちろん試合でこれじゃ困るんだけど、徹底的なジャンプ矯正中ということで、たとえ一時的に落ち込んでもがんばってほしいなぁ。
◆Winter by Alexei Yagudin
おおおおおおう!もうヤグディンおおおおお!!!
今までヤグディンというスケーターがどれだけすごいのか分かっていたつもりだし、もちろん好きだったけど、わりと前に引退してしまっていることもあり、プルシェンコとちがって積極的に動画を集めにいくような感じではなかった。
だから、なんだか価値観のひっくり返るようなWinterだった。最初の風の音がしたところから心臓の音がうるさくて、拍手もできないほど引き込まれてしまった。
削った氷を投げるたびに、観客、拍手喝采(笑)。冒頭とかわりと荘厳な雰囲気の曲なんだけどな……まぁいいけどww
このヤグディンのプログラムを見ているときに、あ、ヤグディンがちょうど自分の人差し指の第一関節くらいの大きさに見えるなって思ったんだけど、普通に考えてかなり遠いんだけど、そんなことが気にならないくらい、会場の隅々まで、人を惹きつける魔法のようなものがかかっているように感じた。
今回あらためてWinterを見て、現役当時とは構成も変わっているだろうけど、お断りストレートラインステップもさることながら、一つ目のステップの、あの何ていうんだろう、えーと後ろ足だけで3,4歩蹴っていくような動き……(?)あれがすごく好きになった。
圧倒的な風格というか、輝きともいうべきものが、2002年の五輪王者からは感じられた。
ダイヤモンドのようなきらびやかさとは違う、日蝕の終わりに太陽が顔を出す一瞬のはかなさとも違う、真珠のような、深く積もった雪のような、それらが内側から発光するような、強く、静かで深い輝き。
Winterという曲のせいもあるのだろうが、今、まぶたの中に思い出す、人差し指の第一関節くらいの大きさのヤグディンは、そんな輝きをまとっている。
余談になるが、ジャンプで転倒していてどきっとした。彼の足のことを知ってからは、動画でジャンプを見るたび「ひえぇ!跳ぶなぁ!」と思ってしまうのだが、彼にとっていちばん危険なのはジャンプではなく転倒なのかもしれないなぁ。
◆Nocturne by Qing Pang & Jian Tong with Siqing lu
もうわたしはこの龐清のピンインPang QingのQingがクィンと書かれることへの違和感がもう……(´;ω;`)
中国語のqiは日本語の「ち」にかなり近い、素直な発音です。
中国のヴァイオリニスト呂思清とパントンのコラボレーション!水色のさわやかな衣装でした。
わたしがシングルばかり見ていた理由のひとつとして、ペア怖いというのが根強くあって……。だって男性が女性を、大の大人を放り投げて……空中で回転して落ちてくる女性を、またキャッチとか……どう考えても人間技じゃない(((゚д゚;)))
でも、なんか中国のペアを見ているうちに、そういう怖さが和らいできた気がする。シングル選手のジャンプ跳ぶ前程度の不安しかない。男性ががっしりしてるというわけでもないのに、というか、趙宏博なんてもう明らかに中国のおっさん(褒め言葉)という感じの、親戚にいそうな感じの親しみのありすぎる顔(褒め言葉)なのに、この安定したダイナミックな演技は何なのだろう。
ちなみにこの二人、フィニッシュ直後にキスをしているところがモニターに映し出されたようで(多分そうだったと思う)、観客からヒューヒュー♪と歓声が飛び交っていた。わたしは覚えてないけど、龐清が雪さんからブーケをもらっていたということもあり、第二の氷上結婚式に早くも期待したくなっちゃうなあ(*´∀`*)
◆Sex Bomb by Evgeni Plushenko
まさかのwwwwwwwwwwまさかのSex Bombwwwwww
……何度も言うようですが、わたしはプログラムをまったく知らずに行ったので。
暗い氷上に浮かぶシルエットが何かおかしい……そう、強いて言うなら肉襦袢のような……そして赤いジャケット…… → (д)゚ ゚
ただでさえ熱かった会場が一気にヒートアップ、割れんばかりの手拍子。自分の隣のうるさいおにいさんは「ぬげー!ぬげー!」と謎の脱衣コール。
あ、でも肉襦袢着て4回転跳んでたんだよなぁ。あれ見間違いじゃないと思う。歓声もギャーってなってたし、周りの人も言ってたし。
追記:4回転じゃなかったみたいですね。回転数見間違えるとかはずかしい(つд`)
脱いだ洋服をスパーンと真上に放り投げて、御年27歳の皇帝はとっても楽しそう(-ω-`)
腹ばいになってズシャーっと滑った後、自分の筋肉に驚く演技が入ってたのが笑えたなぁ。画像あった。→こちら
あとファンサービスで客席にガーッと寄っていって、近くの人はバシバシ触ってたけど、乗り込みはしなかった。後で出回った画像を見たら警備員さんが頑張っていた……。
そうか、このプログラムは完全に予想外だったけど、結婚式のおもしろ余興的な扱いでいいのかな。
ものすごい歓声のなか、ちっちゃいおんなのこが「途中休憩」とか書かれた看板を持って、いっしょうけんめいリンクを回って、第一部終了。
◆こまかいこと
開演5分前の段階でもかなり客の出入りが激しくて、席を間違えたり、群舞のときもわらわら人が入ってきて、最終的にPoker Faceのあたりまで入ってくる人がいた。わあー中国人マイペース!
あと自分の斜め前のあたりに横揺れしたり頭上で手を叩いたりするおばちゃんがいてちょっと迷惑だった……(つω;`)
斜め後ろにはちっちゃいおんなのこがいて、何を思ったか前の座席をガンガンガンガン蹴りまくって、隣のお姉さんキレてた。
……まぁ、こういう色々は、アイスショー文化のない中国では仕方のないことなのかなぁ。
ただ個人的にえーっと思ったのが、ノリのいい曲のときはみんな楽しく手拍子しているんだけど、ゆっくり楽しむ系の曲、たとえばまだ出てきてませんが真央ちゃんのバラードのとき、べらべらしゃべってる人が結構いて。手拍子がないから暇なのかな。なんか客席が全体的にガヤガヤしていた。
ちょっと喋るくらいでうるさいことを言うつもりはないけど、静かに楽しみたい人もいるだろうし、それはどうかなーと思ってしまった。まあ日本人が静かすぎるだけかもしれないな。こういうところに、中国と日本のあいだの深い溝を感じます。
あと、隣のおにいさんはPokerFaceやSexBombなどのサビを歌おうとしていて、でも歌詞が分からない+音痴で、正直きつかった。
ちょっと和む話としては、冒頭でめちゃくちゃ雑な花道をつくっていたちびっ子たち。
大量に投げ込まれるプレゼントの回収が彼らの主な役割なんだけど、氷の上じゃなくて舞台の方に落ちちゃったプレゼントを、頑張って舞台によじのぼって回収してる子がいて、拍手を浴びていた。司会者も笑いながらフォロー。
そして誰のときだったかなあ、ヤグディンかな、ものすごいでかいぬいぐるみを投げ込んだ人がいて、それはもうちびっ子一人じゃ持てないんじゃないかと心配になる大きさの。ちびっ子はぬいぐるみを引きずらないように足で支えながら片足だけでリンクを進んでいって、これまた拍手を浴びていた。ちびっ子かわゆし(*´д`*)
----------
前半戦はこんなところ。
まず大学の授業登録が先だというのを今思い出したので、終わり次第後半戦を書いていこうと思います。
ここまでお付き合いくださりありがとうございましたぁ!
9/11 後半戦UPしました。こちら
前半戦 開始前~第一部まで
まったく個人的な事情により早朝から一日中出歩いていて、首都体育館に向かうときには既にへとへと。
国家図書館駅に着いたときから洗礼が待っていた。こっちのダフ屋は積極的に売らないか買わないかと持ちかけてくる。道中ずっと、だ。すごく不快に思うけど、これが中国だから受け入れるしかない。
体育館の前に着いたのは開場の30分ほど前、17時前後だったと思う。
そのときにはもう、
ジョニ天中国支部の皆さんが超元気だった。Johnny's Angel、略してジョニ天。
おそろいのTシャツに、全員PokerFaceメイク。到着した支部隊員たちに幹部(?)が次々とメイクしていく。ざっと30人はいそう。
日本人探しをあきらめてその辺に座っていたら、中国人のおねいさんに話しかけられる。一人で来たらしい。
「誰を見に来たの?」
「みんなです。フィギュアを生で見るのは初めてなので」
「私はね……私はヤグディンを見に来たよ……!!」
ヤグヲタの方だった(゚∀゚)!!
このおねいさん、割と早い時間から体育館付近で張っていたらしく、外出するヤグディンの写真を何枚か撮り(サイン中とか)、そしてパンフレットにサインをもらっていた!!
「おおおおおおアレクセイ!アレクセイ!」
「アレクセイ!もう超感動!!」
もうテンションが壊れ始める。ちなみにその写真のヤグディンの服装はお察しのとおり短パンだ。首に何か巻いていたと思う。サングラスを額にかけていたかもしれない。
ちなみに「普段はアイドルの追っかけとかしないのにヤグディンだけは別格」なおねいさん曰く、ジョニ天の皆様はヤグディンが出てきても全然騒いだりしないそうだ。一途な愛っていいね。
開場までヤグプルトーク。ヤグヲタのおねいさん的にはどうしてもプルシェンコは芸術性、表現力に乏しく感じてしまうのだそうだ。
女子の話もふったけど、女子はミシェル・クワン世代くらいまでしか見てないらしい(*´∀`*)アチャー
おねいさんが「最近の選手はどれも一長一短という感じで、強烈なカリスマ性を持った選手がいない気がする」と熱く語っている頃、
ジョニ天、集合写真。ははははは!!少し距離があったので、もう見るたび声をあげて笑っていた。
ほどなく開場(でも開演まで二時間ある)。荷物検査官の態度の悪さに絶望……したかったが、まあ、こんなことには慣れているさ。
前の記事に載せた大体の位置はなんと誤報だった。VIP席の反対側だと思っていたら、わたしの席はVIP席の後ろ数列目だった。真ん中近く。たとえるならヤグディンが自分の人差し指の第一関節くらいの大きさに見える位置。
自分の席から。
後ろのほうの席を振り返ったら高所恐怖症でもないのにめまいがした。一番後ろとか、興奮してこけたら転がり落ちると思った。劇場の三階席みたいなかんじ。
めがねをかけたり双眼鏡のピントを合わせたりしていると、近くの席にいた、いかにも中国のもやし男といったかんじの人が話しかけてくる。
「誰を見に来たの?」
「みんな好きです。あなたは?」
「俺はランビエールだね」
ランビヲタ22歳男性(゚д゚)!!
その人と話していて開演までの暇つぶしができたのは助かったのだけれど、なんか私の隣の人と交換して隣に座ってきていらついた。開演後はその人思ったことを大声で野次とばすタイプの人で、結構な頻度であー!とかおー!とか、中国語でかっこいいー!とかその他色々を超大声で叫んでてそういう人苦手なので本気できつかった。けっきょくわたしは信頼のおけるごく一部の人間以外とは一緒にいたくないんだな。演技間のちょっとした言葉は無視と頷きの中間の姿勢をとって受け流した。
開演待ちのあいだに流れたダイジェストムービーを見たら、趙宏博が車椅子に乗っている映像があった。1回転ジャンプで転倒していた。
……わたしが結婚おめでとうとか金メダルおめでとうとか思うよりもずっと、ずっと長く複雑な道を経て、彼らはここで結婚式を挙げるんだなぁ。シングルを中心に見ていたわたしは何も知らないんだなぁ、と、あらためて実感した。
もちろん、知らない何かを知るために来たショーだ。
VIP席はクッションのついた座席になっていた。しかも各席にいっこずつおみやげ的なものが置いてあった。入り口も別だった。
いちばん見やすい場所というだけでリンクにいちばん近いというわけではないので、出演者のファンサービスは主に見づらいけどリンクに近い席の人に注がれていた。一番高い席の中にも、アリーナ席のような近い席と見やすい席とがあったらしい。
開演30分前から流れていたCMはプルシェンコだけ苗字のみだった。普魯申科だった。ヤグディンは阿列克謝・亜古丁だったのに。
そしてショーが、始まる!!
◆Opening
2組のペアから始まり、群舞。そのあと全員が舞台の前に並び、主役が登場、という流れ。
燕尾服の趙宏博が片膝をついて構える。子供たちが両手を伸ばしてつくった雑すぎる花道を、ウエディングドレス姿の申雪が通る。そして結婚行進曲!
モニターには申&趙のコーチ、やおびん先生がピアノを弾いている映像。なにそれすごいwwかわいいコーチだなあwwww
全員が舞台の方に並んだあと、司会者が出てきて、二人の歴史を軽く振り返る映像が流れて、本当に披露宴みたいだった。18年かぁ。私の今までの人生のほとんどくらいの時間を、かれらは二人で過ごしてきたんだ。
ジョニー、ヤグディン、真央が簡単な祝辞。
真央がマイクを持った瞬間大歓声……だが出てきた言葉は完全なカタカナ英語。
まおちゃん英語にがてなんだね(´・ω・`)がんばったね(´・ω・`)
会場が暖かい笑いに包まれたので、それはそれでよかったかもw
祝辞を言って申趙とハグをした人から一人ずつ舞台袖へ戻っていき、残った人たちも順々に二人をハグして祝福する。
ちょうどランビエールと雪さんが最後にハグをする形になり、会場から歓声が上がっていた。ランビのハグのしかたはとってもやさしく、愛情に満ち溢れているようにみえた。こーのーフェミニストめ!
次に中国の有名な歌手、張靚穎が登場して、歌を披露。「我相信」――I Believeという曲で、すてきな歌だった。彼女は申趙の知り合いでもあるらしい。
「初めて会ったのはある集まりでのことだったんだけど」と彼女は言う。「その集まりのあいだ、かれらはどの瞬間も二人でいたの」
中国ではそういった二人を「形影不離」という。胡蝶双飛、形影不離。中の良い夫婦を、寄り添って飛ぶ二匹の蝶にたとえる言葉だ。しかしそんな慣用句以上に、迫力のあるアクロバティックな演技をぴったり決める二人に、「胡蝶双飛」という言葉はよく似合っている。
彼女が「あとは、“棗生桂子”も大事よね」と暖かい言葉で締めくくる。食べ物の名前に「早いうちに、すてきな子を授かる」という意味をかけた「諧音」、駄洒落のようなものだ。
◆天下無双 by Xue Shen & Hongbo Zhao with Xinying Zhang
彼女の歌「天下無双」に合わせた申趙のプログラム。白黒のシンプルで美しい衣装。
ペアの演技は見慣れていないので、くわしいことはよくわからない。「もうこれイーグルこれ!うつくしいーぐる!」とはっきり思ったぐらいで、あとはなんというか、一挙一動からお互いへの愛情とか、信頼とか、そういったものが感じられる、ゆったりとした美しい演技だった、と思う。
セットリストにこだわるタイプではないので順番はあまり覚えていないのだけど、ここからはネットにあがっていたセットリストを参考にします。
◆Poker Face by Johnny Weir
隣にいたうるさいおにいさんが「ポーカーフェイスが最初だよwww」とかネタバレしてくださっていたので、そんなにびっくりもしなかったけれど、ジョニーが現れた瞬間、ジョニ天の皆さん一気にヒートアップ。最初から割れんばかりの手拍子と歓声。
もうね、この人、本当にすてき。音楽にぴったり合ったキレのある動き。一挙手一投足に拍手喝采。中国のお客さんはすごくうるさい。スピンとか始まった直後から大騒ぎ!
去年からやっているこのプログラムは、ジョニーの代表作といえる気がする。本人も大好きな曲だろうし、色々と吹っ切れたというか、ジョニーが遠慮せずにジョニーらしさを出すのって、とてもすてきだと思う。それを嫌う人はいるだろうけれど、好きな人はちゃんとついてくる。数十人のジョニ天中国支部隊員も、わたしも。
◆My Immortal by Joannie Rochette
実はロシェットの演技をみるのは初めて。オリンピックの映像とか、見ればよかったなあ。
バラード系の歌のプログラム。筋肉とか兄貴とかいわれているロシェットだけれど、生で見た彼女は普通のきれいなお姉さんだった。
イナバウアーが得意なのかな。5種トリプルをクリーンに跳び分ける選手なんていうから、なんとなくジャンパーだと思っていたけれど、ジャンプの少ないプログラムも普通に楽しめた。
と、ここで残念なお知らせ。
隣のうるさい人からも聞いていたのだけれど、張丹・張昊ペアが突然不参加になってしまったという。なんと張昊が手を骨折?してしまったらしい。
指を包帯でぐるぐる巻きにした痛々しい姿で司会者のところに登場。お祝いを述べて、自分の怪我は二ヶ月ほどかかると言っていた。彼らの演技が見られなくて残念。GPシリーズには間に合うのかな……。
関係ないけど張丹がかわいすぎて本気でびびった。
司会者「次のスケーターはあなたたちのお友達でしょ?あなたたちから紹介して!」
張丹・張昊「……す、ステファン・ランビエール!(笑)」←声が揃わずグダグダにw
◆Let the Good Times Roll by Stephane Lambiel
キターーーー!!!!!胡散臭いランビ(褒め言葉)きたあああ!!
ネットで何度も見ていたプログラム。ランビといえば優雅なイメージが強かったんだけど、こういう俗っぽいというか、こういうのもいいな~と思っていたので、本当に大好き。あと首の動きも堪能できるプログラムじゃないかと思う。
とにかく楽しそうに滑っていてうっとり!上着を脱いだあとの手で仰ぐあたりがとくに楽しそうだった。
初めて生で見るランビのスピンは、変な言い方だけど回っているのに動かないというか、「止まっている」ように思えた。
ランビを生で見られるというだけで感無量だったわけだけど、プログラムの発表を知らなかったわたしはショーまでの間、「この人は何やるんだろう」とわくわく想像して楽しんでいました。
ランビに関しては、Let the Good Times Rollはまぁやるだろうと思っていた。陽気なプログラムだし。で、もう一曲が気になっていて……テルか椿姫、テルの方が確率高いかなとかまったく根拠のない謎の予想をしていました。Ne me quitte pas、通称ぬぎっぱをやってくれたらとても嬉しいけれど、結婚式という雰囲気じゃないし無理だろうな……と。プルシェンコのMaladeも大好きだけど見られないだろうなーと。
まあ、そんなふうにして勝手に後半戦へのフラグを立てていたわけです。
◆Tango by Mao Asada
男子選手に負けないくらいの歓声。日本人の「まおちゃーん!」という声もしていたけど、中国人のみなさんも盛り上がってくれていたようで、何故かわたしが安心。
暗い中で衣装を見たときカプリースかと思ったけど、なんと新SPであるタンゴのお披露目だったらしい!!
衣装は赤と黒が基調で、ギラギラしてかっこよかった(←その場で素直に思ったことw)。
翌日まであれが新SPだと気づいていなかったのでw、内容はそこまで覚えてないけれど、ステップ~フィニッシュで「あ、かっこいい!」と思ったのは覚えている。
ジャンプはまだ万全とはいえない状態のようで、冒頭の2Aで転倒、そのあともジャンプ抜けがいくつかあったけれど、自分は特に気にならなかった。もちろん試合でこれじゃ困るんだけど、徹底的なジャンプ矯正中ということで、たとえ一時的に落ち込んでもがんばってほしいなぁ。
◆Winter by Alexei Yagudin
おおおおおおう!もうヤグディンおおおおお!!!
今までヤグディンというスケーターがどれだけすごいのか分かっていたつもりだし、もちろん好きだったけど、わりと前に引退してしまっていることもあり、プルシェンコとちがって積極的に動画を集めにいくような感じではなかった。
だから、なんだか価値観のひっくり返るようなWinterだった。最初の風の音がしたところから心臓の音がうるさくて、拍手もできないほど引き込まれてしまった。
削った氷を投げるたびに、観客、拍手喝采(笑)。冒頭とかわりと荘厳な雰囲気の曲なんだけどな……まぁいいけどww
このヤグディンのプログラムを見ているときに、あ、ヤグディンがちょうど自分の人差し指の第一関節くらいの大きさに見えるなって思ったんだけど、普通に考えてかなり遠いんだけど、そんなことが気にならないくらい、会場の隅々まで、人を惹きつける魔法のようなものがかかっているように感じた。
今回あらためてWinterを見て、現役当時とは構成も変わっているだろうけど、
圧倒的な風格というか、輝きともいうべきものが、2002年の五輪王者からは感じられた。
ダイヤモンドのようなきらびやかさとは違う、日蝕の終わりに太陽が顔を出す一瞬のはかなさとも違う、真珠のような、深く積もった雪のような、それらが内側から発光するような、強く、静かで深い輝き。
Winterという曲のせいもあるのだろうが、今、まぶたの中に思い出す、人差し指の第一関節くらいの大きさのヤグディンは、そんな輝きをまとっている。
余談になるが、ジャンプで転倒していてどきっとした。彼の足のことを知ってからは、動画でジャンプを見るたび「ひえぇ!跳ぶなぁ!」と思ってしまうのだが、彼にとっていちばん危険なのはジャンプではなく転倒なのかもしれないなぁ。
◆Nocturne by Qing Pang & Jian Tong with Siqing lu
もうわたしはこの龐清のピンインPang QingのQingがクィンと書かれることへの違和感がもう……(´;ω;`)
中国語のqiは日本語の「ち」にかなり近い、素直な発音です。
中国のヴァイオリニスト呂思清とパントンのコラボレーション!水色のさわやかな衣装でした。
わたしがシングルばかり見ていた理由のひとつとして、ペア怖いというのが根強くあって……。だって男性が女性を、大の大人を放り投げて……空中で回転して落ちてくる女性を、またキャッチとか……どう考えても人間技じゃない(((゚д゚;)))
でも、なんか中国のペアを見ているうちに、そういう怖さが和らいできた気がする。シングル選手のジャンプ跳ぶ前程度の不安しかない。男性ががっしりしてるというわけでもないのに、というか、趙宏博なんてもう明らかに中国のおっさん(褒め言葉)という感じの、親戚にいそうな感じの親しみのありすぎる顔(褒め言葉)なのに、この安定したダイナミックな演技は何なのだろう。
ちなみにこの二人、フィニッシュ直後にキスをしているところがモニターに映し出されたようで(多分そうだったと思う)、観客からヒューヒュー♪と歓声が飛び交っていた。わたしは覚えてないけど、龐清が雪さんからブーケをもらっていたということもあり、第二の氷上結婚式に早くも期待したくなっちゃうなあ(*´∀`*)
◆Sex Bomb by Evgeni Plushenko
まさかのwwwwwwwwwwまさかのSex Bombwwwwww
……何度も言うようですが、わたしはプログラムをまったく知らずに行ったので。
暗い氷上に浮かぶシルエットが何かおかしい……そう、強いて言うなら肉襦袢のような……そして赤いジャケット…… → (д)゚ ゚
ただでさえ熱かった会場が一気にヒートアップ、割れんばかりの手拍子。自分の隣のうるさいおにいさんは「ぬげー!ぬげー!」と謎の脱衣コール。
あ、でも肉襦袢着て4回転跳んでたんだよなぁ。あれ見間違いじゃないと思う。歓声もギャーってなってたし、周りの人も言ってたし。
追記:4回転じゃなかったみたいですね。回転数見間違えるとかはずかしい(つд`)
脱いだ洋服をスパーンと真上に放り投げて、御年27歳の皇帝はとっても楽しそう(-ω-`)
腹ばいになってズシャーっと滑った後、自分の筋肉に驚く演技が入ってたのが笑えたなぁ。画像あった。→こちら
あとファンサービスで客席にガーッと寄っていって、近くの人はバシバシ触ってたけど、乗り込みはしなかった。後で出回った画像を見たら警備員さんが頑張っていた……。
そうか、このプログラムは完全に予想外だったけど、結婚式のおもしろ余興的な扱いでいいのかな。
ものすごい歓声のなか、ちっちゃいおんなのこが「途中休憩」とか書かれた看板を持って、いっしょうけんめいリンクを回って、第一部終了。
◆こまかいこと
開演5分前の段階でもかなり客の出入りが激しくて、席を間違えたり、群舞のときもわらわら人が入ってきて、最終的にPoker Faceのあたりまで入ってくる人がいた。わあー中国人マイペース!
あと自分の斜め前のあたりに横揺れしたり頭上で手を叩いたりするおばちゃんがいてちょっと迷惑だった……(つω;`)
斜め後ろにはちっちゃいおんなのこがいて、何を思ったか前の座席をガンガンガンガン蹴りまくって、隣のお姉さんキレてた。
……まぁ、こういう色々は、アイスショー文化のない中国では仕方のないことなのかなぁ。
ただ個人的にえーっと思ったのが、ノリのいい曲のときはみんな楽しく手拍子しているんだけど、ゆっくり楽しむ系の曲、たとえばまだ出てきてませんが真央ちゃんのバラードのとき、べらべらしゃべってる人が結構いて。手拍子がないから暇なのかな。なんか客席が全体的にガヤガヤしていた。
ちょっと喋るくらいでうるさいことを言うつもりはないけど、静かに楽しみたい人もいるだろうし、それはどうかなーと思ってしまった。まあ日本人が静かすぎるだけかもしれないな。こういうところに、中国と日本のあいだの深い溝を感じます。
あと、隣のおにいさんはPokerFaceやSexBombなどのサビを歌おうとしていて、でも歌詞が分からない+音痴で、正直きつかった。
ちょっと和む話としては、冒頭でめちゃくちゃ雑な花道をつくっていたちびっ子たち。
大量に投げ込まれるプレゼントの回収が彼らの主な役割なんだけど、氷の上じゃなくて舞台の方に落ちちゃったプレゼントを、頑張って舞台によじのぼって回収してる子がいて、拍手を浴びていた。司会者も笑いながらフォロー。
そして誰のときだったかなあ、ヤグディンかな、ものすごいでかいぬいぐるみを投げ込んだ人がいて、それはもうちびっ子一人じゃ持てないんじゃないかと心配になる大きさの。ちびっ子はぬいぐるみを引きずらないように足で支えながら片足だけでリンクを進んでいって、これまた拍手を浴びていた。ちびっ子かわゆし(*´д`*)
----------
前半戦はこんなところ。
まず大学の授業登録が先だというのを今思い出したので、終わり次第後半戦を書いていこうと思います。
ここまでお付き合いくださりありがとうございましたぁ!
9/11 後半戦UPしました。こちら

カテゴリー
最新記事
(11/10)
(05/24)
(04/02)
(12/01)
(11/17)
プロフィール
HN:
佐野
性別:
非公開
職業:
大学生
自己紹介:
北京の日本人が贈る発狂系留学実況。
ブログ内検索
Copyright (c)* こ こ ろ に 重 石 * All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog Photo by Kun Icon by ACROSS Template by tsukika
Powered by NinjaBlog Photo by Kun Icon by ACROSS Template by tsukika