ぱね～ ＋ 一歩

スケートカナダも残すところフリーダンスのみ。
意図したわけではないのだが、ここ数日の生活リズムの乱れもあいまって、男子シングルはショート・フリー共にちょうどぴったりの時間に目が覚めた。
だからといって映像が見られるわけでもなく、テレビもない、ネットも遅い環境にあるわたしは某掲示板の実況を頼りにパソコンの前で縮こまっているだけだった。

まだ全然映像を見られていないのだけれど、チャン、織田、リッポンの3選手より、まずはチャッキーことケヴィン・レイノルズ選手。SPで史上初の2種四回転、しかもアクセルも抜けてない。4S-3T,3A,4Tというとんでもない構成で男子フィギュアに伝説を作ってくれた彼に心からおめでとう。本田武史さんも認める「ぱね～」構成(*´∀`*)
SPのプロトコルを、たとえば織田選手なんかと比べてみると、織田さんは持ち前の膝を生かした質のいいジャンプで加点がいっぱいつくんだけど、チャッキーの場合GOEに関してはもうほとんど、いわゆる雀の涙状態なんだね。
じゃあなんでこんなにTESが高いかっていうと、とにかく基礎点！基礎点！という。
(前より向上したとはいえ)実績点といわれるPCSもまだ十分ではない状況で、GOEがたくさんもらえる安定感もまだない中で、ジャンプの難度でゴリゴリ点数を稼ぐ！という、その幼い見た目に反した男前な作戦がマジカッコイイ。まぁその分ジャンプ抜けが痛いというのもあるのね。1Aとか1Aとかｒｙ

願わくば表彰台で彼のくしゃっとした笑顔が見たかったのだけれど、惜しかった。1Aがね、1Aがもう本当ｎ
FSで4Lo(!!)込みの3本クワドも視野に入っているようだけれど、これで安定して演技をまとめられるようになれば、表彰台に常駐できるようになるんじゃないかと思う。
幼い少年のようなひょろひょろした身体にかわいらしい笑顔の、でもわたしより少しだけ年上の彼が、これからどこまで伸びるか(身長じゃなくてね)期待したい。
カナダの一番手ことパトリック・チャン選手が積極的にクワドに挑戦し始めたのも、もしかしたら彼の存在が影響してるんじゃないかなあ、なんてね。この2選手はお互い正反対の良さを持っているイメージなので、ぜひとも切磋琢磨してもらいたいな。
来る来るといわれていた四回転祭りがついに来たようだけれど、みんな怪我には気をつけて……。

ちょっとマジで全然映像見られてないので今回はこれだけ。あと続きからちょっと深夜テンションで、忘れちゃいけないもう一人。

どこかで手に入れた彼の画像を面白半分で背景に設定したのはいつのことだったろうか。痛デスクトップｗｗなんて笑った後にいつものチェブラーシカの壁紙に戻そうと思っていたのだが、生来の面倒くさがりのせいか、今もまだ、パソコンを開くと彼が笑っている。

調子は決してよくなかったのだろうと、演技を見た分にはそう思う。
ただ、順位なんてどうでもいいかなという気分になった。もちろん順位は大切なものだけれど、彼の演じる姿が、演じるものが好きだという気持ちは、順位によって変わったりしない。


今季の彼のSPには、なんと言えばいいのだろう、生きることそのものというか、人間そのものというか、そんな何か大きなテーマが見える。
少し寂しげな、透きとおった音色のピアノに乗せて、彼は叩く。
透明な壁、もしくは固く閉ざされた扉。何度も何度もぶつかって、懸命に叩いても手が痛いばかりで、目の前に見えているのに、辿り着きたい場所はすぐそこにあるのにどうしても届かない。
届かないけれどそれでも、何度弾かれても何度でも、彼は叩く。辛くても、見苦しくても、彼はただひたすらもがき続け、そして、
たった数十センチの、果てしなく遠い一歩を、彼はついに踏み出す。
その表情があらわすのは、喜びとか安堵とか、そんな単純な言葉では言い表せない感情。

このプログラムを、彼自身のスケート人生に重ねることは容易い。失敗した場合の惨めさというか、転ぶことがここまで多いスポーツも珍しいだろうが、彼は何千回何万回と転びながらも、ずっとスケートを続けてきた。
そして、たとえ輝かしい記録が残らなくても、彼のファンがたくさんいることが、彼の演技で笑顔になる人間がいるということが、20年以上も壁を叩き続けた彼が得た、世界なのだ。
最後に立ち尽くす彼の姿に、不覚にも涙がこぼれた。人の感情を動かすのは、思いがこもっているからなんだろうなぁ。

フリーの方は途中映像が途絶えた動画しかないので、おいおい追加するけれど、こちらはストーリーというよりはノリノリで楽しいプログラムといった感じだ。
東京ワールドを控えた今シーズンに、この冒頭から手拍子の起きそうなプログラムというのは、やはりあの東京フィーバーを髣髴とさせる。本人も多少は意識しているのかもしれないが、なんにせよ、彼がワールド出場を決めるまでは、どきどきしながら過ごすことになりそうだ。
まあわたしはどうせ行けないのだけれど、それでも、彼が東京でこの演技を披露できますように、ってね♪