北京の暴力的な寒さも大分やわらいで、代表争いから世界選手権、そしてシーズンの終わる時期ですね。
冬から春へ。アリッサのFSがそんな題だったような気がします。
バイトバイトで忙しくしている間に全米選手権が過ぎてしまった。
わたしは全加での教訓を全く生かせず、レイノルズ以上に台乗りなんて当たり前、どうやっても代表落ちえない、むしろまた優勝するんじゃないかなって、思っちゃってた。
絶対はない。油断すれば引きずり下ろされる。そういう世界だからなぁ本当に。
きっとどのスポーツもそうだけど。
日常のふとした瞬間に突然レイノルズやアボットがワールドに出られないんだってことを思い出したりして、少しずつそのことが自分の中でも現実のことになってきていて、別に悲しいっていうよりは、何度も何度もその事実を自分の中で再確認するだけ。
まあ、強いて言うなら、悲しいんだと思う。
本人のためにもわたしのためにも、代表に選ばれた選手が素晴らしい演技をしてくれるといいなと思う。そうでなければなんとなく、いたたまれない。
そんな再確認の中に、少し遅れて代表落ちを知ったベルントソンがまだ含まれない。
彼の場合、出られようが代表落ちようが、最後だったわけで。
というより、このシーズン自体が終わりの先の、いわばエクストラステージだったわけで。
ノルディクスSPでマヨくんが1位だった時点で、あ、これはやばい、と思ったんだけれども、実際に選考結果をツイッターで知ってみて、なんというか、コトン、と、瓶をゆっくりと床に置くような、そんな音が自分の中で鳴った気がした。
予期していたわけではないと思うんだけれど、結構おだやかな気持ちで、事実を受け容れられたように思う。
サッカーにはあまり興味がないんだけれど、昔ニュースで見た中田選手の引退試合の情景が眼に浮かんだ。
わたしの高校時代もそうだったけれど、終わる終わるって分かっていても、終わったときの気持ちっていうのはそのときにならないと分からなくて、そんな気持ち、開放感でも喪失感でもなく、ただ何か大きな、強い何かがとにかく全身をがんがん殴りつけるあの気持ちを、中田選手も彼も感じたのかもしれない。
決していい結果は残せなかったけれど、代表落ちてしまったけど、ほんの1シーズンの間だったけれど、それでも、彼のファンでいられてよかったと心から思う。
ジャンプも安定しないし体力的にもきつそうに見えて、はらはらすることが多かった。でも、多分だけれど、「物語」という点において、わたしは彼の物語が、彼のプログラムの世界が一番好きだった。
今季のSPも、サタデーナイトフィーバーもフォトジェニックも、きっとわたしは忘れられない。ぱっとしない記録で終わった彼の物語は、それでもずっとここに、記憶の中に残っている。
20年以上続けてきたフィギュアスケートに終止符を打ったその先、次の大切な人生を、まっすぐじゃなくてもエッジエラーでも回転不足でもいいから、彼らしく歩んでほしいと、なんとなくそう思う。
両手に抱えきれないほどの素敵な世界をどうもありがとう。期待はしないでおくけれど、もしもまたあのやわらかなはにかんだ笑顔を、氷の上で(たとえばストックホルムアイスで!)見ることができたら、きっとわたしはもっとうれしい。
そんな終わり方とは対極の終わりが、欧州選手権にあった。
マイヤー本当にすごい、すごいよ。いまどき少女漫画でもこんなきれいな終わり方ってないよ。
結果を残すことだけが人生ではないけれど、でもこの結果で彼女は、今までのつらいことも全部よかったって思えたんじゃないかな。
東京ワールドに出ないことが、本当に残念。でも、だからこそ本当に美しい、まさに有終の美だった。
ランビエールだけでなく彼女も、まぎれもなくスイスの英雄だった。彼女のこれからの人生が幸せであることを祈りたい。
できるだけ笑っていてほしいけれど、それでもどんな終わり方でも、その選手の輝きに変わりはない。
一人の選手が競技生活を終えるそのときには、最大限の敬意を持って、幸せを祈れるようになりたいと思うんだ。
「愛するっていうのはそういうことだ」と私は言った。「愛っていうのは、比較検討して選び出すものじゃなくて、偶然が絶対化することなんだよ。(略)」
保坂和志「カンバセイション・ピース」
わたしの好きな選手は、別にわたしが意識して選んだわけではないのだと思う。
----------
さーて欧州男子と全米男子もそのうち書きたいなー。
北京の空気の悪さは異常。
冬から春へ。アリッサのFSがそんな題だったような気がします。
バイトバイトで忙しくしている間に全米選手権が過ぎてしまった。
わたしは全加での教訓を全く生かせず、レイノルズ以上に台乗りなんて当たり前、どうやっても代表落ちえない、むしろまた優勝するんじゃないかなって、思っちゃってた。
絶対はない。油断すれば引きずり下ろされる。そういう世界だからなぁ本当に。
きっとどのスポーツもそうだけど。
日常のふとした瞬間に突然レイノルズやアボットがワールドに出られないんだってことを思い出したりして、少しずつそのことが自分の中でも現実のことになってきていて、別に悲しいっていうよりは、何度も何度もその事実を自分の中で再確認するだけ。
まあ、強いて言うなら、悲しいんだと思う。
本人のためにもわたしのためにも、代表に選ばれた選手が素晴らしい演技をしてくれるといいなと思う。そうでなければなんとなく、いたたまれない。
そんな再確認の中に、少し遅れて代表落ちを知ったベルントソンがまだ含まれない。
彼の場合、出られようが代表落ちようが、最後だったわけで。
というより、このシーズン自体が終わりの先の、いわばエクストラステージだったわけで。
ノルディクスSPでマヨくんが1位だった時点で、あ、これはやばい、と思ったんだけれども、実際に選考結果をツイッターで知ってみて、なんというか、コトン、と、瓶をゆっくりと床に置くような、そんな音が自分の中で鳴った気がした。
予期していたわけではないと思うんだけれど、結構おだやかな気持ちで、事実を受け容れられたように思う。
サッカーにはあまり興味がないんだけれど、昔ニュースで見た中田選手の引退試合の情景が眼に浮かんだ。
わたしの高校時代もそうだったけれど、終わる終わるって分かっていても、終わったときの気持ちっていうのはそのときにならないと分からなくて、そんな気持ち、開放感でも喪失感でもなく、ただ何か大きな、強い何かがとにかく全身をがんがん殴りつけるあの気持ちを、中田選手も彼も感じたのかもしれない。
決していい結果は残せなかったけれど、代表落ちてしまったけど、ほんの1シーズンの間だったけれど、それでも、彼のファンでいられてよかったと心から思う。
ジャンプも安定しないし体力的にもきつそうに見えて、はらはらすることが多かった。でも、多分だけれど、「物語」という点において、わたしは彼の物語が、彼のプログラムの世界が一番好きだった。
今季のSPも、サタデーナイトフィーバーもフォトジェニックも、きっとわたしは忘れられない。ぱっとしない記録で終わった彼の物語は、それでもずっとここに、記憶の中に残っている。
20年以上続けてきたフィギュアスケートに終止符を打ったその先、次の大切な人生を、まっすぐじゃなくてもエッジエラーでも回転不足でもいいから、彼らしく歩んでほしいと、なんとなくそう思う。
両手に抱えきれないほどの素敵な世界をどうもありがとう。期待はしないでおくけれど、もしもまたあのやわらかなはにかんだ笑顔を、氷の上で(たとえばストックホルムアイスで!)見ることができたら、きっとわたしはもっとうれしい。
そんな終わり方とは対極の終わりが、欧州選手権にあった。
マイヤー本当にすごい、すごいよ。いまどき少女漫画でもこんなきれいな終わり方ってないよ。
結果を残すことだけが人生ではないけれど、でもこの結果で彼女は、今までのつらいことも全部よかったって思えたんじゃないかな。
東京ワールドに出ないことが、本当に残念。でも、だからこそ本当に美しい、まさに有終の美だった。
ランビエールだけでなく彼女も、まぎれもなくスイスの英雄だった。彼女のこれからの人生が幸せであることを祈りたい。
できるだけ笑っていてほしいけれど、それでもどんな終わり方でも、その選手の輝きに変わりはない。
一人の選手が競技生活を終えるそのときには、最大限の敬意を持って、幸せを祈れるようになりたいと思うんだ。
「愛するっていうのはそういうことだ」と私は言った。「愛っていうのは、比較検討して選び出すものじゃなくて、偶然が絶対化することなんだよ。(略)」
保坂和志「カンバセイション・ピース」
わたしの好きな選手は、別にわたしが意識して選んだわけではないのだと思う。
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さーて欧州男子と全米男子もそのうち書きたいなー。
北京の空気の悪さは異常。
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無題
ベルントソンはショックとは少し違う、なんかもうお疲れ様ありがとうって感じでした。
私も短期間ながらもリアルタイムで応援出来たことを嬉しく思います。
ワールドチケット取れたのに彼がいないのは寂しいですが、シュルタイスマヨロフが神演技してくれることを祈りながら観戦してきます!
台湾での四大陸よかったですね。
地元の方の応援も温かくてほっこりしました。
これを気にもっと盛り上がるといいですね。
私も短期間ながらもリアルタイムで応援出来たことを嬉しく思います。
ワールドチケット取れたのに彼がいないのは寂しいですが、シュルタイスマヨロフが神演技してくれることを祈りながら観戦してきます!
台湾での四大陸よかったですね。
地元の方の応援も温かくてほっこりしました。
これを気にもっと盛り上がるといいですね。
Re:
こんにちは!
好きな選手をリアルタイムで応援できるのって、考えてみれば貴重なことですよね。
ワールド羨ましいです!ぜひ楽しんでくださいね♪
四大陸行きたかったです……(笑)
佐藤信夫コーチやジョアン・マクラウドコーチに指導を受けている台湾選手もいるそうですし、台湾も含めいろんな国でフィギュアが盛り上がるといいなと思います。
好きな選手をリアルタイムで応援できるのって、考えてみれば貴重なことですよね。
ワールド羨ましいです!ぜひ楽しんでくださいね♪
四大陸行きたかったです……(笑)
佐藤信夫コーチやジョアン・マクラウドコーチに指導を受けている台湾選手もいるそうですし、台湾も含めいろんな国でフィギュアが盛り上がるといいなと思います。
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